高村光太郎の詩集「道程」から「さびしきみち」による歌曲
...金子 美香 (アルト)
...高野 麗音 (ハープ)
2012.05.27

"Sabishiki Michi" for Alto and Harp / さびしきみち〜アルトとハープのための (2011)

二つの部分から成っているこの作品は「虫」をテーマに掲げたもの。
第一部では夏の昼に群れを成して飛び交う虫たち、
第二部では秋の夜に鈴のような声で鳴く虫たちを、
そして全体の最初と最後、二部分の間には風になびく草むらをイメージして作られている。
ごく身近の存在が少し違った姿で表れるのが楽しめる。

...秋生 智之, 石若 駿, 永野 雅晴, 橋本 麻也加, 樋口さゆり (Percussion)
2012.11.27

"Hibiki no Niwa / Garden of Resonance" for 5 Percussionists / 響きの庭〜5人の打楽器奏者のための (2012) - Mov.1

"Hibiki no Niwa / Garden of Resonance" for 5 Percussionists / 響きの庭〜5人の打楽器奏者のための (2012) - Mov.2

ガラス細工のアラベスクが
カラカラと軽快な音をたてて割れては
また別のアラベスクを形成する

...高岸 卓人 (ヴァイオリン)
2014.11.07

助川 舞 作品

"Fractured Arabesque" for Solo Violin / ひび割れたアラベスク (2014)

かつて夜空というものは、あるところでは、天空の一面をおおう一枚の巨大なタペストリーと言われ、またあるところでは金銀に輝く無数の舟が流れつづける広大な海と言われていました。太陽が沈んだあとの群青色の空とまたたく星粒というものは、古代から人を魅了してやまないものであったことでしょう。この作品は、そういった夜空そのものの美しさとそれにまつわる様々な想像を、そのまま一枚の絵に描くように作った音楽です。下地には、我々にも身近な十二星座の恒星の明るさや大きさ、位置、地球からの距離などを数値化したデータが使われています。そこから生まれた音群はばらばらに独立しているようにも、お互いに干渉しているようにも振る舞い、曲のはじめから終わりにかけてひとつのグラデーションを織りなします。
今でこそ私たちは、星とは宇宙空間に浮かび光をはなつ球体であると知っています。しかし一方で、すでに多くの光で覆われたこの地上から、満天の星の光を浴びることがどのくらいあるでしょうか。私は音楽を書くことしかできませんが、その音楽によってみなさまの原始の素朴な感動を呼び起こすことができたら、それはこの上ない喜びです。

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People, at one time, thought of the night sky as one huge tapestry overcasting the view, or vast ocean where countless shining boats kept on floating. A view of deep blue sky and twinkling stars after the sun set might fascinate humans since ancient times. This piece was composed as if painting a picture of the beauty of the night sky and various imaginations associated with it.
The numerical data of the familiar twelve constellations — the brightness, the size, the coordinate and the distance from the earth — are the groundwork of this music. The notes are based on this data, appearing in both isolated form and a form where notes are intervening with each other, and weave one gradation from the beginning to the end.

...浅野 亮介 (指揮) / アンサンブル・フリー
2014.10.15

アンサンブルフリ

"Stars Weave the Expansive Sea" for Orchestra / 溟渤を織る星の糸 (2014)

...浅野 亮介 (指揮) / アンサンブル・フリー・イースト

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Ravel: Le Tombeau de Couperin - Fugue
String orchestra (with harp) arrangement

[Arr. for Strings] Ravel: Le Tombeau de Couperin - Fugue / [弦楽合奏編曲] ラヴェル: クープランの墓 - フーガ

ヴァイオリンは、私にとって最もたくさんの音を聴いてきた、最も愛着のある楽器であり、この楽器が持つあらゆる『色』と『質感』の全てが好きです。

今回の作品タイトルには”Ⅱ”という数字が付されていますが、”Ⅰ”にあたるものは2014年に作られ、その素材とコンセプトがそのまま引き継がれています。
素材として選ばれているのは、ガラスのような軽やかさと透明感、それが叩きつけられたときのような衝撃とその乱反射というイメージです。そして同時に、力強いダンスのようなエネルギーを加え、もし無機物が生命をもって踊りだすとどうなるか？という面白さを表現したいというのが、この作品の根底にあるコンセプトです。

...堀 真亜菜 (ヴァイオリン)
2017.05.22

"Fractured Arabesque II" for Solo Violin / ひび割れたアラベスク Ⅱ (2017)

「花筐(はながたみ)」という言葉があります。
「花や若菜などを摘んで入れるかご」という意味です。
三好達治の詩集で初めて知りましたが、もともとは世阿弥の能の一曲にあるそうですね。
素敵な言葉だと思って、短い小品集であるこの曲に「星筐」というタイトルを付けました。
異なる性格の3つの小品から成っており、これはその3つめのものです。

...松下 洋 (サクソフォン)
...細川 文 (チェロ)
...黒岩 航紀 (ピアノ)
2014.12.09

"Hoshi-Gatami (Star Basket)" for Soprano Saxophone, Cello, Piano / 星筐 (2014) - III. Scherzando

拍子や秒数などのような、ある決まったひとつの基準に定められた単位によるのではなく、5人の奏者がお互いの音を認知することにより成立するアンサンブルを目指した作品です。奏者は自らの音を奏する際は常に「その瞬間の音あるいは間(休止)」に依存しており、5人のなかには中心となる存在は無くなり、対等となります。
曲の構成として大きく二つに分けると、前半は〈テーマと4つのバリエーション〉、後半は〈ゆらぎと共鳴〉となります。
前半の〈テーマ〉とされている部分では、ひとつひとつの音は独立しており、前後の音との能動的なつながりは、音の発せられるタイミングという点以外にはまだありません。そこから、〈4つのバリエーション〉を通じて、1つのパートの中でのつながりから、さらに他のパートへのつながりへと発展し、有機的なメロディを形成していきます。
打ち寄せる波のようにパターンがくり返される部分から、〈ゆらぎ〉が始まります。ただし、パターンごとに、奏者はいくつかの音あるいは休止から毎回選択するように設定されており、それによって生まれるハーモニーは偶然性を帯びます。
そして最後の〈共鳴〉では、断片的なメロディが複数のパートで奏されますが、このメロディの形や長さはパートごとによってわずかに異なり、その「ずれ」が音色のグラデーションを生み出します。最後に全てのパートがA音に収束し、曲が閉じられます。

...Ensemble Spherable
2017.10.08 初演

"Hibiki no Niwa II / Garden of Resonance II" for 5 Bassoons / 響きの庭 Ⅱ 〜5本のファゴットのための (2017)

この作品では、いくつかの「境界」を曖昧にすることを意図しています。
限られた音による色彩の変容、エレクトロニクスと奏者との"相互"の呼応から生まれる即興性、一定と不定のリズムの混合といった要素が、
音楽の流れの中での変化という瞬間、人と人でないものの演奏というアイデンティティという「境界」を溶かします。

...助川 舞 (ピアノ)
2017.12.06

"Opalescent Mist" for Piano and Electronics / オパールの霧〜ピアノとエレクトロニクスのための (2017)

映像と音によるこの作品において、色彩と音響の関係性は私自身が音を聴くときに連想される視覚的イメージをもとにしており、両方のイベントが同時に起こることによる「色(視覚)」と「声(聴覚)」の混乱および錯覚の誘発を試みています。
2018.03.27

"Shiki - Sho" / 色―声 (2018)

これまでオーディオビジュアル作品群の制作を通して、聴覚的要素と視覚的要素との一致や統合を模索してきた。この作品では、「人はどの瞬間に、自らの記憶と外部刺激との関連性が認識できなくなるのか」という問いに、ひとつの答えを見出そうと試みた。
外界から窓を通して入ってくる日常的な音から始まり、徐々に催眠状態に入るかのように曖昧な姿に変化する。それが飽和すると、記憶が脳内で明滅するようにあらゆる音や映像が断片的・非連続的に入れ替わる。
2018.12.11

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By creating series of audiovisual works, I have been observing the correspondence between auditory and visual elements.
This piece begins with familiar sounds enter through a window into the perceiver’s area. Gradually the perceived stimuli change obscure as the perception diminishes into a trans state of awareness. With this behavioural concept, I attempt to answer one question with you: when is the point the perceiver loses their recognition of experience?
11 Dec 2018

"Designed Reminiscence 18-DH" / 計画された記憶 (2018)

作者自身の持つ共感覚―音の高さにより、かすかではあるが異なる色が感じられる―を使うことを実験している。
この作品では緑をテーマとしており、言葉として「緑」と認識できる色が感じられる音で主に構築されている。
変化し続ける色や光の流れを、音として空間に実現することを模索した。

オランダのデン・ハーグで行われたWave Field Synthesis Festivalにて初演。
2019.05.25

"Everflowing Light: Green" / 絶えず流れる光: 緑 (2019)

Mai Sukegawa was born in Hokkaido, Japan in 1990. 
From childhood, she has been playing the violin and piano, and composition since 2003. Her composition teachers include Satoshi Minami, Teruyuki Noda, Akio Yasuraoka, Ichiro Nodaira and Teruaki Suzuki.
She graduated from Tokyo University of the Arts in 2013, for B.A. in Composition, and is now studying the art of electronic music and sounds at the institute of Sonology, Royal conservatory in the Hague.
Her “Sabishiki Michi” for Alto and Harp has won the 2nd prize of the 19th SOGAKUDO Japan Song Competition (2012). 
As a chamber music concert organizer, she has hosted several concerts featuring all new works by composers from “Snow Regions” in Japan. 
Her current interests include the potential of incorporating interactive digital arts using dancers and or projectors. 
In addition to contemporary art music, she is also active as an arranger of popular music and video game music, performer and instructor of the violin, instructor of music theory and composition, and musical engraver.
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1990年北海道生まれ。
幼少期からヴァイオリンとピアノを習い始め、2003年から作曲を学び始める。
これまでに作曲を南聡、野田暉行、安良岡章夫、野平一郎、鈴木輝昭の各氏に師事。
東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業し、現在はデンハーグ王立音楽院ソノロジー研究科ソノロジーコースにて研鑽を積む。
第19回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門一般の部において、「さびしきみち～アルトとハープのための」で第2位を受賞。
新曲の室内楽作品によるコンサートシリーズ「雪国の作曲家たちによる新曲作品展」にて、第1回(2014)から第4回(2017)までのコンサート企画に携わった。
このほか、ポピュラー音楽やゲーム音楽の編曲、ヴァイオリンの演奏及び指導、和声法の指導などといった音楽活動を行っている。

Mai Sukegawa

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