Duet for 2 Flutes, TWV 40:107 (Telemann, Georg Philipp)

さかのぼる時の道　振り子時計は
音もなく　闇に堕ち　静けさを歌う
 
枯れ草を燃やす火の　焼けつく音が
思い出を蝕むすべてを消し去る
 
飛び立つはずの　鳥は囚われ
見透かされた檻の主を慕う
 
声が聞こえた　神の名を問う者が
船の上では　同じ名を汚していた
 
過ち忘れ　転がるように
生まれては消える魂の影
 
日が落ちる城の壁　崩れた夢は　
繰り返すいたずらに　悪魔をいざなう
 
喜びを知る者は　足早に去り
うたかたを見誤る者だけが残る
 
飛び立つはずの　翼は折られ
目隠しされたまま　貰い手を待つ
 
声を忘れた神の子が憐れんだ　
人の群れから追い出された羊を
 
声を失くして闇空に祈れば　
声が聞こえた

GarageBand

11 幻想と詩２

この星を抱いて眠る　女神の夢を訪ねて　
包まれた　愛の鼓動に　祈りに　
胸を痛めた
 
争いの終わりを知る　時の翁の畑で　
摘み取った果実を知って　愚かな日々を思った
 
悲しみ　優しさ　心は　すべて神の声
 
時を浮かべて輝く　星の道の行く先は
閉ざされた　心の部屋に続くと　天使は語り
 
辿る魂の川を　遡る空しさから　
流される心を知った頃には　夢から覚めて
 
悲しみ　優しさ　心は　すべて神の声
 
定めもなく　空をわたる　
鳥のように　満たされた翼で　愛を描いて
 
この世界が　輝く日まで

10 永遠の赦し

桃色　お星は　何処へ行った
七色の雲が　生まれた夜明けの　空へ行った
 
夢色　綿毛は　何処へ行った
虹色の風が　笑った夕べの　海へ行った

9 夕空と子供

祈りを捧げるのも忘れて　飛び回る鳥よ
おまえはどこへ行くの
神様の許へと
おゝ　私もそこへ　一緒に行きたくなる
 
海　山　星空を飛び越えて　はるかな世界へ
時の経つのも忘れ　駆け巡る喜び
そう　私はそこへ　今　向かう箒星
 
さよなら　愚かな人の町よ　里よ
私は自由を手にした　もう帰らない
でもあなたたちを　許してあげるわ
 
呆れるくらいのしぶとさで　私を
奪おうとしても　何も取れなかったでしょう
さよなら　私は行く　神の庭へ

8 おゝ鳥よおまえの行く処へと

私の子守唄は　あなたのやさしさと
花を揺らす夏の風が語る御伽噺
言葉で掴まえれば　星の輝きさえ
この胸にいだくことができた　あなたとなら
 
闇夜は語る　さみしさのわけを
だけどあなたのそばで　私はまどろんでいる
 
大きな雲の向こうに沈む夕陽が
私たちを包む　とわに結ぶように　
あなたの愛がすべて　私を照らす
凍てつく夜にさえ感じる鼓動で
 
あなたが描く夢は　いのちの美しさ
飛ぶように踊る小鹿の瞳　輝いて
私がさまよいこむ　あなたの魂は　　
深い愛が満たす泉　心あるものは　
癒されるでしょう　その水を知れば
私は森の木漏れ日　
歌う　そのやさしさを
 
あなたのためだけの人になりたい
でもあなたは決して　掴まえてはくれない
二人で見る景色が　美しいから
望みすぎているのは分かっているけれど
 
私の子守唄はあなたのやさしさと
花を揺らす夏の風が語る御伽噺

7 愛の思い出

崩れた城の壁に緑　蘇る頃にはきっと
焼かれた木々も花も鳥も　歌うでしょう
 
人も奪えぬ営みは神の心　織り成す夢
瓦礫の中　命芽生え　枯れては生まれ
 
終わりは来るの　それは誰も知らない時の道
恐れないで身を潜めて　救いの日まで
 
崩れた城の壁に緑　蘇る頃にはきっと
焼かれた木々も花も鳥も　歌うでしょう

6 蘇る緑

行く宛のない鳥たちが　風にさらわれ
時の島を巡る螺旋に溶け込む
私の影を取り囲む夜のこだま
あなたの肩を握り締め　朝を待つ
動かぬ箱舟に乗り　神の訪れを待つ　
夢の終わりに
 
はぐれた子供の声が　草にひそみ
住処を奪われた夢と溶けあう
さよなら　人の丘よ　
救いも見えぬ裁き　恐れた果てに
 
飛び立つのは人の翼　
魂だけ浮かべる空に　汚れた何もかもを棄てて
思い出す　約束を忘れたことを
 
動かぬ箱舟に乗り　神の訪れを待つ　
夢の終わりに
 
飛び立つのは人の翼
魂だけ浮かべる空に　汚れた何もかもを棄てて
思い出す　約束を忘れたことを

5 幻想と詩１

私の心を描いた　あの人の
歌声が　今も寄り添って
泉の湧く　森の深く
静けさを訪ねて出会う　やすらい
 
定めのような　悲しみも
光のような　ほほえみも
旅路の私を　誘うように
 
ささやく時の鐘の音が
移ろいを映して　水面を叩いては
生まれる新たな命を　照らすように
愛のしらせを宿らす
 
夢見る心の住処を訪れる
妖精の羽音が聞こえて
見上げる木々の木漏れ日に
見つけ出す　永遠の神の恵み
 
羽ばたいて　風の空を
星を巡る　喜びよ
悲しみを癒し　溶かすように
 
私の心を開いた　あの人の
歌声はいつも寄り添って
生まれる新たな命を　照らすように
愛のしらせを宿らす
愛のしらせを宿らす

4 愛の宿り木

春の風は　夢見る蕾の
戒めを溶かし　森を彩らせ
鏡のように　星を満たす希望を映し出す

夏の空は　はるかな心を　
埋め尽くすほどの　雲を浮かばせて
心惑わせ　命の行方を尋ねさせる

秋の道は　過ぎし日々に似て
踏みしめる音に　儚さを覚え
揺らめく影に　交わした約束を思い出す

冬の雪は　時を止めるように
この世のすべてを　しじまに包んで
ざわめく声を　祈りに変え　神に届けさせる

3 四季

宇宙の片隅で　命は生まれた
光を身に纏い　闇の中に
 
目覚めた時　愛は灯された
初めて見る　星たちは語った
 
光と闇が寂しげに　互いにその身を結んで
誰も知らない未来を　夢に描いた
 
そして時は止まる　宇宙の最果てで
忘れられた夢を　見つけるため
 
遥か遠く　心も届かぬ
夜の底で　願いは生まれた
 
悲しみの中　喜びが　喜びの中　悲しみが
光と闇に分かたれて　逆らうことも出来ぬまま
互いに埋もれるように　求めた　愛を
 
宇宙の片隅で　命は生まれた

Duet for 2 Flutes, TWV 40:107 (Telemann, Georg Philipp)

Asako Furuzono

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