『あした天気になあれ』

アスファルトの濃い藍色 荒ぶこの世の退路
人は人ではなく遠くの空を睨んだ
誰にも見えていないから 持て余す肖像権
ああ 透過して溶かして街の中

恨めしやの声 誰かに届ける理由は何
夜の灯りに何かを奪われた気がした
溜息 風に攫われ 君がそれに気付いた
　

静けさを泳いで夜の淵 凍える身体を寄せ合った
「一緒にいきたい」って どんな意味で受け取った？
同じでありますように

ほら冷たい雨が降るよ やるせなく空に笑った
諦めて濡れてしまえば 平気だった 昨日までは
こんな空にも傘を差せば 傘がなくても君といれば
歌さえ口ずさめたんだ 握った手を離さないで

あれは晴れた日の栄と盛 枯曜 後の衰曜日
灯りの切れた部屋から窓の外を眺めた
陰りの中消えそうな輪郭が呟いた
「もう、どうしたらいいか分からないよ」
　
空失くす 君が飲み込んだ
この部屋に吐き出す厚い雲
震える手握って 怖くないよ大丈夫
誰に向けて言ったの

濡れた髪をそっと分けた 指先からひとつ落ちて
胸に染みる雨粒に 君のこと重ねてた
うら悲しい声の中に 救われる響きだってあるさ
一雫 私を打った 君のせいじゃないよ きっと
　
店先 置き去りのビニール傘が 私を見て語り出す
「僕が僕であり続けるために雨を乞う いつだって
　君と僕はよく似ているよ ほら 同じ目をしてる
　光乱反射する寄る辺ないその目だ」

この空と朝と夜と 心はまるで世界のようだ
だから止まぬ雨の中 人はきっと生きられない
君が悲しいとき悲しいと 同じ空の下いるみたい
それがずっと嬉しくて 私ずっと悲しかったんだ

本当に求めていたのは 晴れ渡る空と君だった
強く祈る雲の隙間 光射した 綺麗だった
ほらこんなにやさしかったんだ 世界はどこまでも眩しいね
そう笑って振り返った そこに君はいなかった

君の雨を止めたかった 自分も愛せないくせに
悲しいのに 苦しいのに「笑えない」と笑わないで

この空が晴れる代わりに 今日もどこかで雨が降る
そんなこと分かってるさ あした天気になあれ

ちゃんるな『あした天気になあれ (Have a good day tomorrow)』

「Sunny」

そうだ あの日僕は 何か間違えてさ
全部投げ捨てて 君の手も離した
曇った空の下で君が笑ったように
晴れた空の下を歩く憂鬱もある

遠い遠いこの距離はさ
埋まらない事も分かっている
もう何回も追いかけた
諦めたんじゃなく気付いたんだ
「思い残すことはない」と
言っているうちに嘘も枯れて
空を仰げば
　
ねぇサニー 遠い君の元へ
届けたい声は 掠れ 途切れても
君は汚れたこんな歌も
両手で包み込む とても優しい人

Chips

Sunny

「雨女」

ビニール袋に雨粒を
集めて彼女は持ち歩いた
悲しい事は忘れない
今日も袋は破れない

やがて底には穴が空いて
流れて行くと思ってた
優しい心のせいなのか
その時は終に来なかった

雨女 そう呼ばれる事はなかった
水溜りに浮かぶ 彼女だけの一人称

そして雨を飲んだ
雨雲を孕んだ
遠い街に ほら 稲妻が落ちた
この空をこんな色に染めても
傘は素通り
嗚呼 雨よ降れ

雨女

『Bloody Monday』

塞いだ目 人の世じゃ
猫背の角度で自意識の強さを測るようで
昨日より深く俯く影
明日憂う心では
今日すら愛せはしないから
月曜を葬った
返り血も拭かずに微笑んだ

安定剤を飲み干して
不安定に揺れてる夜
微か明かりを灯してる
崖の淵歩く影

彼はBloody Monday
ぐるぐる 回る7daysは血まみれの木馬
星から星へ飛び立つロケット
それに乗るためのプレミアなチケット
求め狂ってる
笑えねぇ

夢 希望 歌の亜種
今夜も全部吐き出せずに
喉元苦しいんだ
胸ぐら掴んで揺すってくれ
恨みつらみ 上手くすりゃ
この世の旨味になり得るらしい
あの日の血で錆びた
ナイフじゃ上手く捌けないな

机上の九龍 崩れる城
もう元に戻らない
すくい上げた指の隙間
流れ落ちるメロディ

彼は Bloody Monday
ゆらゆら 迷い込んでしまった扁桃体の独房
前後不覚辿り着く虚空
ヤバ過ぎる空気感じ取り呼吸
ここで叫んでも 誰も居ねぇ

思い残す事は数多
もう戻れぬ遠く彼方
確かに愛していたあなた
何故あの時手を離した
たらたらと液状になって
流れ落ちるこの未練を
辿っていつかまた出会えたら
そんな夢を見た 

彼は Bloody Monday
ふらふら 引き摺る足はSOSの軌跡
救われたいと思う脳裏で
声が聞こえた「苦悩を歌え」
抱えた頭上に
慈悲深く淡い歌声と
赤く煌めく蜘蛛の糸が降りた
「地獄巡りは終わりにしましょう」
これが最後の選択だと悟る
彼が選んだのは

～epilogue～
血溜まりのMonday
弔ったTuesday
その肩に掛ける言葉なく
立ち尽くすanother days
涙流し腫れた目 僕達の七回目
戻らないと諦め 花手向け塞いだ目
それでも悲しいままだね
いくつ時が巡ったとして
きっと忘れないから
忘れないから

Bucket List

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