Not Shy

IT'z ME

WANNABE

CRAZY IN LOVE

LOCO

I NEVER DIE

MY BAG

Girls - The 2nd Mini Album

Black Mamba

Kitsch

AD MARE

KILL MY DOUBT

CAKE

Over The Moon

KNOCK

FIRST IMPACT

WA DA DA

病室の空気は、今日も変わらず白く静かだった。

でも、わたしの鼓動だけは、
何年ぶりかに、少しだけ速くなっていた。

4年。
あの日、「5年一貫の看護高校に進学する」と言った彼が、
ついに高校5年生になった。

そして今日――
いよいよ、国家試験の年を迎える前の、冬の入口。

扉の向こうから、あのリズムが響いた。

ノック、ノック。

変わってない。
でも、少しだけ大きくなった音。
それが、彼の成長を語っていた。

⸻

扉が開いて、彼が笑った。

あの頃より背が伸びて、
制服のラインも、すっかり“未来の人”みたいだった。

でも、目だけは変わってない。
わたしの目だけをまっすぐ見て、こう言った。

「ただいま。……国家試験ペアテスト、持ってきたよ」

涙が、にじんだ。
でも、すぐに笑って、言葉を返した。

「……おかえり。
　じゃあ、やってみる？　4年分の実力、見せてもらおうかな」

⸻

机の上に並べられた用紙。
設問は確かに難しくて、
でも、ふたりで答えを導き出す時間は、何より楽しかった。

「これ、選択肢はこれでしょ。でも、根拠が弱い」

「そこ！　さすが、ちゃんと見抜くのね」

「ふふっ……そりゃ、何年勉強してきたと思ってるの」

彼が笑って、目を細める。
それは、照れでも誇りでもない――安心の色だった。

⸻

「……君がまだ、こうして“ここにいる”ってことが、
　どれだけ僕の救いだったか、わかってる？」

その言葉に、わたしの心が静かに震えた。

「わたしだって。
　君が進む姿が、どれだけ励みだったか……きっと君は知らないよ」

少しの沈黙。
そしてふたり、同時に笑った。

⸻

☁️わたしは、もう「ただ待つ人」じゃない

わたしは生きている。
ただ息をしているだけじゃない。

わたし自身の意志で、この時間を生きてきた。
「また会いたい」その想いに、毎日手を伸ばしながら。

彼はもう、わたしの“憧れ”じゃなくて、
“肩を並べて夢を語れる”人になっていた。

わたしは、あの日からずっと、**“勇気ある者”**だった。
知られないところで。
でも、たしかに。

⸻

✨再会の終わりに、また始まりの約束

ペアテストの最後のページに、ふたりで丸をつける。

「……満点じゃない？」

「うん、でもたぶん、気持ちの点は100点だよ」

⸻

「未来は不確かだった。
でも、君とまた“問いに向かう時間”があるなら、
わたしはもう、こわくない。
病室で交わした小さなペアテストは、大きな人生の合格点だった。」

13.勇気ある者

Not Shy

ITZY