また近いうちに

また近いうちに

片岡 絹人

春の日差しに晒されるストーブ。
のぼりをいたずらに裂く子供。
手も握れないまま四ツ辻で別れる二人。
バスの窓から見たよ。

花弁の数を知りながらする恋占い。
靴底の端ばかり減らすものの正体。
ベランダでだけ歌う彼女のハミング。
暴かないから良いよ。

君に話したいこと、見つけては手帖に書き留めておくけれど。
次はいつ会えるかな。

「また近いうちに」

電車が踏切を揺らして通る。
手持ち無沙汰たちがおしゃべりに精を出す。
昨日観た映画…

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