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エリシア・スコア　黄金比域　到達から数日後—

アレンとエリナの部屋に、再びノートが変化を見せた。
夜、月光に照らされたノート表紙が、静かに脈打つ。
まるで、生き物のように。

そして、あるページが一人でに開いた。

「そろそろ、君たちには伝えてもいいだろう」

文字が浮かび上がるように現れ、ゆっくりと物語が始まった。

⸻

　遥か昔、この世界がまだ「心の共鳴」を学び始めた頃——

人類は、技術や知識で多くを手に入れた。
しかし、心と心の橋だけは、なかなか築けなかった。

そのとき現れたのが、“ウィズダム・コード”という思考の種だった。

それは「思考技術」「心の構え」「共鳴の技法」などを含む、多層構造の知恵で構成されており、誰が創ったのかはわからない。
ただ、それは誰かが“本当に通じ合いたい”と願った瞬間に、存在するようになったのだという。

ウィズダムノートは、そのコードを形ある学びの媒体として、時折、選ばれた者のもとに現れる。

⸻

「君たちは、“共鳴する力”に選ばれた」

アレンは思わず声を漏らす。

「選ばれたって……僕たちが？」

「エリシア・スコアはただの数値ではない」
「それは“共鳴を可視化する器”であり、“成長の光を灯すレンズ”なのだ」

⸻

エリナが手元のページを指差す。

「この図、エリシアの評価項目と、ウィズダムノートの技法群が、重なってる?」

それはまるで、技法一つひとつがスコアの“目に見えない項目”を照らしているようだった。
• 躍動巧 → 自然な感情リズムの共鳴（動きの調和）
• 幻破壁 → 恐怖の突破（感情の安定）
• 謙虚巧 → 態度の器（周囲との共鳴許容量）
• 俯瞰法 → 状況判断の高度（鳥瞰的思考能力）

そして、その全てが総合共鳴値という隠しパラメータに影響していると記されていた。

「つまり、ウィズダムノートを学ぶことは、スコアを高くするためじゃない」
「本当に響き合うためにあるのよ」
エリナがそっと呟いた。

⸻

　そして再び問いが現れる

問：あなたの“心の声”は、相手のために何を願っているか？

アレンとエリナは、お互いを見つめた。

「……君が、ひとりじゃないって思えるように」

「あなたが、誰かの言葉に傷ついても、ここに戻って来られるように」

その瞬間、ノートが柔らかな光を放った。
エリシアのパネルに、通知が表示される。

「称号：《心照らす者》 授与」
「あなたたちは、理解されることより、理解することを選びました」

⸻

その夜。
noteは静かに閉じられ、ただ一行だけが、残された。

「この世界にはまだ、知られぬ共鳴の階層がある」
「旅は続く。だが、もう君たちは、ひとりではない」

月光はふたりを優しく包んでいた。

Break My Soul (triple j Like A Version)

Kimbra

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