ふたり 夜風にあたって目を覚ます頃
街灯の数だけ立ち止まって見つめ合った
めぐる季節に意味をくれたあなた
春より暖かな春が笑っている

破れてもいい約束にしか
預けられない19歳
夏が来る、
それだけで強くなりたかった

最後の一口飲み干したラムネの瓶
ふたりとも捨てられずに歩いた
吸い込まれそうな冷たい夜に
あなたが掛けてくれたカーディガン
四月が終わっても私を暖めているよ

痩せこけた携帯
今日はベッドに置いてきたから
















カーディガン

さよならの歌 / 寺尾紗穂

ふいの涙に追われて
乗り込んだこの地下鉄は
いくつもの夜を乗せて走る
窓にうつるわたしは
ぼやけた目をして
でも昨日より少しだけしゃんとして見えた

やさしい歌をきいても
あなたのことしか思い出せないから
知らない人の歌をきいて眠ろう

あなたを星に見立ててみても
東京の夜は明るすぎて
見失ってしまうな
４月の雨に髪を濡らして
今日も誰かの傘をかいくぐって生きてごめんね

hoshinoie

運命の人 / 森山直太朗

今夜は冷えるねって窓にあたってとけない雪をみてそういった
白熱灯はすこしわたしたちには明るすぎたみたい
グラス越しにみえた冬の夜明けは遅く
眠りにおちてしまわぬように　かたく手をつないだ
今夜だけはランプを消して
カーテンの裏に朝がきても
ふたり知らないふりをしていよう
終わらない夜を重ねて星になってもいいの
わたしあなたが好きだから

candle

ぬるい雨に打たれて
あなたの輪郭がにじんだ
ゆれる髪は動きをとめて
古ぼけたこの春にしずくを落とした
いま あなたの透ける肌越しに
信号が青になるのが見えた
ふたり分のまどろみが
夜にこぼれて
僕らは笑いあった
目もくらむあかい光を追いかけて
どこまでも それはまるで恋のように

ぬるい雨が止んだ
春風がふたりを誘って
僕の肩に落ちた花びらを
あなたの指先の体温で溶かして

tail lamp

レスター / 森山直太朗

ハイビスカスティー / 寺尾紗穂

都会 / 大貫妙子

窓を開けてカーテンを揺らす
陽にあたって透けたあなたの髪を見てるわたしに
どうかそのままずっと気づかないでいてね　
人がわらうのを見るのはいいね
白い肌　ながい髪　欲しいものだらけよ
不甲斐ない 暮らしだって 愛せるよ つま先から
 
笑うより泣くほうがらくだ
しあわせはこんなに悲しくて嬉しい
毎日があたらしい季節ね
ふたりだけの言葉でくすぐっていたい
 
言葉を忘れてもそばにいさせて
見つめ合って　さびしくって　たまらなくなるのよ
さめない夢がここにあったっていいじゃない
 
笑うより泣くほうがらくだ
よろこびはいつだってすこし冷めてる
毎日があたらしい季節ね
ベランダ 窓越しに見える
あなたの後ろ姿がやけに大きく見えた
 
一歩先を歩くあなたと
同じ足を同じときに出して歩くわたしに
どうかたまには気づいて手をつないでね

夫婦

こんなことで大人になっちゃったなんて言わないでよ
寂しそうな横顔　むにっとして笑わせたいよ
クーラーのした　タオルケットにくるまった
君を抱えて海に行きたい　そんな夜さ
夏の日 サンダルの乾いた音に乗せて口ずさむ
君のいいこと　全部教えて
前髪が伸びたね  急に大人になったみたいだ
レモン色の舌を ぺろっとして笑わせてよ

あくる日もあくる日も泣き暮れるような
美しい日々を抱えて君も歩き続ける

愛することにくじけても
しあわせを前にめげちゃだめよ
あいつ以外に泣かされないで
強くて弱いあなたでいてね

風吹く夜道にあてもなく歩く君が
みじかく揃えた爪先でなぞる
唇の端が震えてる
テレビドラマじゃあるまいし

鏡よ鏡、駆け抜けろ
朝が来るのを待つことはないさ
忙しい、それは恋のように
追いかけて、追いかけた先にある
愛することにくじけても
しあわせを前にめげちゃダメよ
あいつ以外に泣かされないで
強くて弱いわたしでいてね

ハイビスカスティー / 寺尾紗穂

mogusa

Recent comments

be0tifulsea

Related tracks