The being descends, not destroying but rewriting. The world becomes a book, its lines altered by its law. Survivors lose will: their bodies, puppets; their thoughts, whispers of the Abyss. In the sky shines the “Crown of the Abyss” — a ring of light encircling the black sun. Humanity disappears, dissolved in its radiance. There is no struggle — not because it was crushed, but because in this new reality, struggle no longer has meaning.

Eye of Eternity

Crown of the Abyss

Hollow.

insane.

Psycho lover.

「…ねぇ、これって、ほんとにテスト？」

すみれはノートのページを指でなぞりながら、声を潜めた。

「うん、でも“テスト”って言っても、“誰かに伝える”ためのテストだって。」

そう答えたのは、となりのケイ。
少し声が大きくて、ちょっと笑いすぎて、でもなんとなく安心できる存在だった。

今日は共育中学校のペアテスト。
お題はこうだった。

『学校やペアテストについて、ふたりで話し合ってSNSの最初の投稿をつくりなさい。形式は自由。』

すみれは、自分が「自由」と言われるのが苦手だった。
「何を書いてもいいよ」と言われると、余計に何も書けなくなる。

ケイはそんなすみれの様子を見て、机の間にそっとメモを滑り込ませた。

『じゃあ、ぼくが質問する。すみれがこたえて。』

すみれは小さくうなずいた。

⸻

「この学校の、いちばんすきなとこは？」

「…答えがひとつじゃないところ。」

「じゃあ、ペアテストって、すみれにとってなに？」

「…“だまってても、となりが待っててくれる”もの。」

「それ、すごくいいな。」

⸻

ケイはそのまま、投稿文をまとめた。

『この学校では、黙っている子の中にも、言葉がちゃんとある。
となりの子と、それを見つけるのがぼくらのテスト。』

ふたりはその投稿に、机の上に並べた文房具の写真を添えた。
すみれの指先が少し写っている。ペンを握るのではなく、そっと触れるように。

⸻

【おわりに】

「…それ、ほんとに投稿するの？」

すみれが恥ずかしそうに聞くと、ケイはにっと笑った。

「うん。たぶん、誰かの“となり”に届くかもしれないから。」

⸻

このペアもまた、教室の片隅でひとつの光を咲かせていた

教室のすみに咲いた一言

ショッピングモールの光は、
まるで空気に色がついたみたいにキラキラしていた。

人の声、音楽、焼きたてパンの香り。
どこを見ても初めての世界で、
わたしは――もう抑えきれなくなっていた。

「すごい！　わあ、見て、あれ……！
　あっ、あれも！あれもテレビで見たやつ……！」

車椅子のわたしがあちこちを指さすたび、
彼は笑って「うん、うん」と頷いてくれる。
その笑顔を見るたびに、
胸の奥がぽかぽかして、涙がこぼれそうになる。

⸻

こんなに楽しいのに、
なぜか泣けてきた。

「だって……こんなの、知らなかったから」

生きてるって、
こんなふうに**“誰かと一緒に、何かを見て選ぶこと”**だったんだ――
わたしは、ようやく知った気がした。

⸻

雑貨屋さんに入って、
ぬいぐるみや文房具、マグカップを前にして、
「どれにしよう？」と口に出している自分が、
まるで夢みたいだった。

「これも欲しい、でもあれもかわいい、えー、決められない！」

はしゃぐ声がうるさいって思われたかもしれない。
でもそのときのわたしは、
生まれて初めて“選ぶ自由”の中にいた。

⸻

そして――
ふと目に留まった、あるひとつの小さな万年筆。

黒に近いネイビー。
細身のシルエット。
使い込んだらきっと、彼の手になじむだろうなって、
なぜかすぐにわかった。

⸻

「……これにしよう」

最初に選んだものは、
わたしのものじゃなかった。

彼への、プレゼントだった。

⸻

店員さんが丁寧に包んでくれる間、
わたしはじっと見ていた。

“わたしが選んだもの”が、
“彼の毎日”の一部になるって、なんてすごいことだろう。

⸻

「え？ それ……自分のじゃないの？」

外に出て彼が驚いた顔をする。

「ううん。これは――
　君が、いつもわたしのために考えてくれてるから。
　たまには、わたしが考えた“君のこと”を、渡したくて」

⸻

わたしは、泣きながら笑ってた。
嬉しくて、幸せで、そして――
“ちゃんと何かを贈れる自分”になれたことが、誇らしかった。

⸻


「生きててよかった、って
はじめて心の底から思ったのは、
自分のためのものじゃなくて
君のための贈りものを選んだときだった。
喜ばせたい、って願う気持ちが、
わたしの命を、あたらしくした。」

この瞬間の彼女は、
もう「病室の少女」ではありませんでした。

**“与えることができる存在”**として、
ほんとうの意味で、“自由なる者”として生きていたんですね

19.ショッピングモールの光

A tale of a soul burned by its own vow. When the darkness loosens its grip, you escape the prison of pain — no longer human, but an empty shell where silence roars louder than life. You reject your name, your past, and your hope, finding freedom only in the ashes of your world.

No More Pressure

No More Pressure (Mira's Single)

赤いちゃんちゃんこ。
冗談のような、現実のような――
病院の談話室が、今日は小さな祝福の空間になっていた。

「お誕生日、おめでとうございます！」

スタッフの拍手とともに、
真っ白なケーキに立てられたロウソクが、やさしく揺れた。

わたしは、笑っていた。
ちゃんと笑えていたと思う。

でもその笑顔の奥では、
言葉にならないほどの時間が、静かに波を打っていた。

⸻

「……還暦、おめでとうございます」

そう言ったのは、主治医だった。
変わらない白衣と、変わらない眼差し。
でも、言葉の重みが違った。

わたしはゆっくりと笑って答えた。

「ありがとうございます。まさか、生きて還暦を迎えるなんてね……」

その瞬間だった。
彼が、顔を真っ青にして、立ち尽くしていた。

⸻

「……え、還暦って……60歳……？」

彼の声は、絞り出すようだった。

「でも……僕、20……」

その場にいた全員が一瞬だけ沈黙した。
けれど、誰も何も言わなかった。

彼だけが、時の流れに置いていかれたように、
混乱の深みに落ちていた。

⸻

わたしは、それをちゃんと見ていた。
彼がどれだけ、ずっと「止まっていた」と思っていたか。
わたしを「少女」のままで心にとどめていたか。

その想いが、あまりに純粋で、切なくて――
だからこそ、やさしく包み込むように話しかけた。

⸻

「ねえ、泣かないで」

「……僕、何も考えられなくて。
　どうしたらいいかわからなくなって。
　君が、還暦だって、そんな……そんなこと……」

「いいの」

「でも、僕の中じゃ、ずっと――
　君は、“あのときの少女”で――」

「わたしも、心の中では、まだ“あのときのわたし”のままよ」

わたしは、彼の手をそっと握った。

⸻

「人生って、不思議よね。
　君が看護師になって戻ってきてくれて、
　それだけで、わたしには十分すぎるくらい奇跡だった」

「でも、僕は……」

「ねえ、今日のこのパーティー、
　わたしの誕生日っていうより、“みんなとの再会”の日なの。
　君がいてくれることが、何よりの贈り物なのよ」

わたしの手を見て、彼が声をふるわせた。

「僕、泣いてばっかりで、ごめん……」

「それでいいの。
　泣けるってことは、ちゃんと“君のまま”で生きてるってことだから」

⸻

「60年生きて、
やっと“今が幸せ”って言える日が来た。
君が戸惑うほどの時間を、
わたしは、君と再会するために越えてきた。
ロウソクの火は揺れても、
わたしたちの絆は、消えたりしない。」

⸻

この日の彼女は、還暦を“老い”ではなく、
**「生きてきた重み」**として、まっすぐ受け止めていました。

そして、その傍らで混乱した彼すらも、
“今ここにいる”ことを、やさしく肯定していたのだと思います。

She's Not Crying, She's Plotting

Moon Tigress

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