「優しい気持ち」

こうして腰を降ろして道行く人の流れを見ていると
まるで自分だけがここに取り残されているようで
すっかり冷めたコーヒーも点り始めた街の灯りも
もう彩りを失って手触りの無い世界さ

街が少し呼吸を緩めて夜風の気配を感じたら
ゆっくり落ち着いた気持ちになって考えることもできるでしょう
前向きな意味の諦めでもって昂ぶった気持ちを鎮めたら
素朴な気持ちで日々を見つめ　また眠りに落ちよう

誰にも面と向かって言えないような　暗い気持ちがあるでしょう
よしなよ　そんな悪態をついて自分の価値を下げるのは
今日は2人で腰を降ろして　過ぎゆく時間に背を向けて
明日のことなど考えず　ぼんやり夜更かししないか

きっとそれも数時間でお開きすることになるでしょう
いつの間にか終わりの時間に自然と気づく歳になっちまった

悲しいときは泣けばいい　嬉しいことは話しておくれ
1人の時には電話を鳴らして
よう兄弟　調子はどうだい

俺にも普段はとても言えないような　優しい気持ちがあるんだぜ
泣きなよ　そんなに片意地を張って我慢をするのはよしてさ
もし口に出して言えないような　暗い気持ちになっても
よしなよ　そんな卑屈になって自分を責めて済ますのは

悲しいときは泣けばいい
嬉しい時にも泣けばいい
ひとりの時には会いに行くさ　優しい気持ちになろうぜ

Written by Masafumi Nakanishi

05 優しい気持ち

「長患いのうた」

明日には楽になって　有意義に過ごそう
こうなってしまったのは誰のせいでも無い
こんな恋はもう忘れてしまおう
３年半の想い過ごし
一途な分だけタチが悪い　誰にも喜ばれはしない

本当はすぐに呼び出して　想いを告げたい
叶わないことはわかっている　ただ整理をつけたい
そんなことはただの独り善がりさ
打ち明けられる人もいない
寄る辺のない悲しみには　つける薬もありはしない

胸の奥でずっと熟れすぎた想いが
たまに顔を覗かせて　それに気づかぬふりをする
ただあなたの姿が見えない　一人の暮らしは
立ち止まって足踏みをするよう
疲れるだけで前には進まない

Written by Masafumi Nakanishi

03 長患いのうた

「ラブソング」

今日は姿を見かけて　声をかけそびれた
事務的な用事の時には　うまく笑えない
どうやら相手も気づいた　遠慮がちの距離感
いつもと同じ電車　いつもの時間帯

こうしていつも　時がすぎるだけなのだな
腹を決めよう　どうせ一時の恥さ　ままよ

たまに話すようになったら　姿が離れない
言葉の端々に　浮つく気持ちが隠せない
どうやらあふれてしまった　秘めていた想いが
覚えず感情の起伏が　露骨に顔に出た

小細工はやめよう　振り向かせればいい
はっきりさせよう　あの日の笑顔の意味

あのね僕はね　他に言いようが無いから
こんな時にすまないが　好きでいていいか
それが僕の気持ちさ　疲れた顔も好きさ
無理に笑わなくてもいい　黙っていてもいいからそばにいておくれ

いつもここで待ったんだ
ずっとこの時を待ったんだ

Written by Masafumi Nakanishi

02 ラブソング

「イントロダクション」

今度の休みにはどこに行く　あの子がバイトしている店を訪ねようか
休憩時間に合わせて　ちょっと遅めのランチに出かけようか
雑誌の記事を思い出して　ランチメニューは何時まで
いそいそ歩けば小腹も空くでしょう

たまに地下道を回り道　出口のそばのアメリカンコーヒー
冷め切っても長居を決め込んで　電話のベルで駆け出す
会おう会おう　いつもと反対側のホームで

笑いあった後の帰り道　最終電車に滑り込んで
満ち足りたあの焦燥感で　メールを打つ手をこらえる
あの言いっ放しの言葉も　少しぐらいの誤解も
喉元過ぎれば話のタネでしょう

Written by Masafumi Nakanishi

01 イントロダクション

「からっぽのサリー」

夜明けの土の上を　ぽつぽつと足音が
回り道は辛くない　ずっとそうして来たから
歪んだ口元で　強ばって笑うのは
熱の夜に涙流して　待ちわびていたから

いつも五線譜の上の　宝探しに夢中で
白い肩震えるのを　強くごまかして

あの朝焼けに　何を感じていたのか
そう最後は　いつも探していた　あのランドスケープ

いつも誰の手にも　触れさせずにいたのは
硬く錆びた鉄の弦を　張り詰めていたから

遠く海原の先に　どんな青が広がるのか
波打ち際の笑い声に　頑に背を向けて

この寒空に　一人探しに行くのか
悲しいから　ずっと触れていた　あのマチエール

どこで間違えた
後悔は無いのかい　その足取りに

その胸の上　息遣い　白く冷たい両の腕
遠く忘れさせてくれたのはいつも　あのランドスケープ
ずっと探していた　あのランドスケープ

あのランドスケープ　空の果てが青く落ち込む地平
灯台守よ夜を照らして　サリーのいる居る地へ
拳で拭いた涙も忘れた　からっぽのサリー
ランドスケープ　あのランドスケープ　あぁ！

Written by Masafumi Nakanishi

05 からっぽのサリー

「太宰はね」

太宰はね　人の憚ることを努めて愛した
けど今の私には　それすら疎ましくて
息のかかる頬が　懐かしくもあるけれど
ダンチョネ

太宰はね　世に疎まれようと努めて道化た
けど今の私には　むしろそれは都合いいの
綺羅と光る波が　侘しくもあるけれど

外連味は身体に毒さ　この上惨めになるなよ
しがらみ拗れさすのは　いつもそうゆう出来事さ
背中に絆された　定めしそんなところさ
空ろな眼差しが　聞き及んだ通りさ

声のかかる方向を　愚直にも目指せず　また背いて
息のかかる頬を　自ら手放して　サノヨイヨイ
ダンチョネ

外連味は身体に毒さ　この上惨めになるなよ
しがらみ拗れさすのは　いつもそうゆう出来事さ
背中に絆された　定めしそんなところさ
空ろな眼差しが　聞き及んだ通りさ

太宰はね　息のかかる頬を　光る波を
愛することを己で許せず　サノヨイヨイ
ダンチョネ

Written by Masafumi Nakanishi

04 太宰はね

「ファンク西成」

春一番から木枯らしまで一貫ドレスダウン
動物園では昼夜で見世物変わる
下駄屋の主人が作るレコード　欧州Jazzめき
立ちんぼだって若くない　けど男女は同権

さっきまで乗ってたチャリンコがもう無い
昨日まであった仕事　明日はもう無い
青春買ったら帰りの　電車賃が無い
増えるはずだった元手　ひとつも残ってない

違法賭博　呑み屋のママ　顔付きが外人
違法賭博　呑み屋のママ　子持ちのバツ２で
違法賭博　呑み屋のママ　男切れ目が無い
違法賭博　呑み屋のママ　性転換済み

あの祭り事ゲート潜れば　旅館は明楽
拾得物履き物片方から　蚤の市Soulfood土手焼き
吉原渡鹿野目じゃない　避妊も万全組合

末端価格コミュニケーション　浮浪者詰めのバン
末端価格コミュニケーション　冬に人口調整
臓器売買で財成す　行きは渋々帰りは無い
末端価格コミュニケーション　保証人も不要

籠城可能ポリスステーション　老いも若きも用を足す
籠城可能ポリスステーション　出入りは裏口
同和問題で財成す　押収即ち横流し
籠城可能ポリスステーション　暴動も管轄

違法賭博　呑み屋のママ　独自の通貨Day
違法賭博　呑み屋のママ　ブルーシートの楽園
違法賭博　呑み屋のママ　おでん屋台の売人
違法賭博　呑み屋のママ　野良犬が犬食う

（間奏）

タコ部屋　非正規雇用
タコ部屋　非正規雇用

違法賭博　呑み屋のママ　携帯名義が無い
違法賭博　呑み屋のママ　免許ももう無い
違法賭博　呑み屋のママ　パスポートも無い
違法賭博　呑み屋のママ　戸籍ももう無い

違法賭博　呑み屋のママ　顔付きが外人
違法賭博　呑み屋のママ　子持ちのバツ２で
違法賭博　呑み屋のママ　男切れ目が無い
違法賭博　呑み屋のママ　性転換済み

Written by Masafumi Nakanishi

03 ファンク西成

「いせどう」

計る時を過たず　あの子捉えたとは言えど
甲斐甲斐しくもなれなくて　過ぎる時の上　滑るだけ

斯かるほどに時は待たず　今は近くで過ごせない
姿恋しくもただの一人　登る坂の上　暗くて

坂の向こうには　棚田またぐハイウェイ
暮れるに脇目振らず　何度も同じこと確かめ合う

仰ぎて見れば　棚田またぐハイウェイ
今日の終わること　まるで気づかぬように

坂の向こうには　二人つなぐハイウェイ
暮れるに脇目振らず　何度も同じこと確かめ合う

Written by Masafumi Nakanishi

02 いせどう

「メッセージ」

あざやかなメッセージ　届けたい夜を待つうちに
あざやかなメッセージ　聞かせて朝の来る前に
あなたの背中が終わりを告げる　その朝が

まるで申し合わせ「きっと誰かが」って誰
誰も目を伏して言う「いつかは」っていつ来るの
針を落としたまま回り続ける時計が
何を刺すこともできずに　私を刻む
なぐさめとは笑い合うことができない
きっと私だけが違う

あざやかなメッセージ　届けたい夜を待つうちに
あざやかなメッセージ　聞かせて朝の来る前に
かすれて響くドア越しの声が　眠れぬ夜の終わりを告げる

西日があふれて目を細めた
優しいオレンジ絶やさないで
いつまで経っても帰り支度が
終わらないのは誰のせいなの

あなたがにじむ背中越しのドア
かすれてきっと届かないメロディ
このメッセージを乗せて

あざやかなメッセージ　届けたい夜を待つうちに
あざやかなメッセージ　聞かせて朝の来る前に
加速するメロディが　いつかの背中を追い越していく
あざやかなメッセージ　この夜が明けなければいい
かたく閉じたその背中には　投げかけるものが何もないの

Written by Masafumi Nakanishi

メッセージ

「ダンスフロア」

また忍び込んで　そっと抜け出して
じっと息を殺して　夜が静まるのを待つ

跳ね上がるリズム　ハミング息を合わせて
幕間のダンスは　次の夜空まで回り続ける

放物線を描く天体の軌道が　あなたの髪を照らして閃く
まばゆい光　高鳴るこの鼓動　涙拭くのを諦めた頬で触れて

目元に浮かぶ秋の色　首から肩までアイルランド
白い背中の峰を越えて　長い手紙が届く

悲しくなるのは夜の嘘　寂しくなるのは朝の嘘
全ての嘘が空に上って　星になるまで続けて
繰り返すのは　同じ光の瞬き

放物線を描く天体の軌道が　あなたの髪を照らして閃く
まばゆい光　高鳴るこの鼓動　涙拭くのを諦めた頬で触れて

全天のダウンライト　そう今ここが銀色のダンスフロアさ

放物線を描く天体の軌道が　あなたの髪を照らして閃く
まばゆい光　高鳴るこの鼓動　涙拭くのを諦めた頬で
まばゆい光を　まばゆい光を　諦めた頬で触れて

Written by Masafumi Nakanishi

ダンスフロア

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