「ロック」
作詞曲、編曲／小島僚介
-----
ある人はそれは生き方だと言う
ある人は昔のダンスミュージックだと言う
ある人は反骨精神だと言う
ある人はオーバードライブを踏めと言う

いつの時代も人々は憧れていた
前へ習えの号令を無視して進むものに

ああ、雑誌の通りにゲインを上げて
ああ、YouTubeを見て動きを真似て
スターごっこ スターごっこ

ライターは長々と語り尽くす
辞書によればただの石だそうだ
見上げ続けてたスターたちはみんなビジネスマン
それでも突き動かされた僕の負けさ

スターかどうかは関係ない
どうせどいつもこいつも人間、動物さ
今夢中かどうか　今痺れてるか
退屈してないかどうか　それだけでいい

いつの時代も人々は求め続けてる
前へ習えの号令を掻き消してくれる騒音を

ああ、歌よりもお芝居に気を使って
ああ、歌いたいことより聞きたがることを
お仕事だとしても

ああ、爆音と歌詞カードと代弁者
ああ、部屋の隅っこでギター鳴らして
歌った 歌った

それがあるならどうでもいいよ
-----

ロック

「誰もが」
作詞曲／小島僚介
-----
四角い枠の中で輝く人たちは
いつの間にやら同世代か年下ばかり
ため息で淀んだ空気が抜けて
また少し小さくしぼんだ背中

世界で一番価値のない人間が眠った窓に映る
こんな下らない気分に肩まで浸かる

誰もが自分を嫌ってそのくせまだ生きている
「シニタイ」なんて自棄になってこぼすとき
こんなにも活きている
ほら、こんなにも生きている

ありふれたドラマのセリフ
「あなたのために生きる」
「あなたのために死ねる」
探しもせずともそんな言葉が
何食わぬ顔で頭の隅に静かに座っている

大切なものを踏み台にして手に入れた
ブドウはどんな味がするんだろう
ねえ、キツネさん

誰もが自分を嫌ってそのくせ必死で生きている
そもそも意味も価値もありはしないしその必要もないのさ
生きていくことになど　死にゆくことになど

正義も悪も罪も罰も愛も神も生も死も
人間が作ったただの言葉に過ぎない
何も深く考えなくていいはずだから
好きなようにすればいい

誰もが自分を愛せずそれでも必死で生きている
「生きたい」なんて口にしなくても
すでに響いているはず

誰もが何を失ってもまだ生きている
誰もがどんなにくたびれてもまだ生きている
誰よりも生きている
荷物を抱えた両手で錆びたドアノブを回して
扉を開けるのさ

誰もが
-----

誰もが

「雨」
作詞曲/小島僚介
-----
今日は大切な人と会う日
何日も前から楽しみにしていた日
天気予報士もたまには的を外す
思い描いていた日と早くもかけ離れる

買ったばかりの靴　濡れて色が黒くなっていく
袖についた斑点模様見てるとなんだか心も空模様

降りしきる雨は僕らを平等に濡らす
傘を買う人　雨宿りする人
水浸しの街で行き交う人々が何を思うかは
神も仏も知らない

いつもの場所で水たまりと一緒に
ポツリ傘をさして待っていた

髪を濡らして駅から走る君を見つけた
僕ら駆け寄って二人だけの世界を作った

降りしきる雨は僕らを平等に濡らす
浴びにいく人　汲みにいく人
水浸しの街で行き交う人々が何を思うかは
神も仏も知らない

そこには不規則で心地のいい響きが
ノックを繰り返す　ノックを繰り返す

君は雨が好きだった
それを思い出して僕もまた笑う
ああ、雨も悪くない

降りしきる雨は僕らを平等に濡らす
家で過ごす人散歩に行く人

降りしきる雨がこの街を優しく包んで
人々はただそれに何かをしただけ
そこにあるものはその事実だけなんだ
伸びる影のようについて回るもの

みんな同じさ
-----

「深夜徘徊」
作詞曲／小島僚介
-----
午前2時はとっくに過ぎてる
コンビニの明かりが遠くに見える
ここがどこだかわかってる
ここがどこだかわかってしまってる
まだ何者にもなれていないのに
何者にもなりたくなくなって
行き先決めず歩いている
相棒のiPhoneは部屋で眠っている
昼間の僕の抜け殻と

ただ前に進んでいくよ
意味なんて何もない いらない
それでいいってこともあるだろう
少し高い缶コーヒーを買った
誰も僕を咎めやしない
今誰も僕を知りやしない
誰も知ろうとしない

朝見るドブ川とは違う
何だかキラキラ光ってた
満月が水面に揺れている
なるほど君も夜が好きなのか
客など来ないのにこの信号は
律儀に何かを守っている
ならそれに応えようと僕は
赤信号で飲み干した

ただ前に進みたいだけなんだ
昼間の僕を思い出す前に
胸の鼓動を足音の所為にしたい
止まってしまった今思わず
瞳を閉じて耐えていたら
青信号がもう瞬きしていた

今日はもう随分歩いたな
こんなとこにベンチなんてあったかな
ここがどこだかわからない
わからないとこまでやっと辿り着いたんだ
なのに頼んでもないのに朝日は
すべてのものを晒し上げる
あの山の隙間から見つかる前に
もう家に帰ろうか

ただ前に進み続けてきた
それに意味がないこともあるけど
それがいいってこともあるさ
空っぽの缶コーヒーを持って
来た道をのんびり帰る
ドブ川もなんだか輝いてみえた気がした
これで良しとしようか
-----

深夜徘徊

「歩いていけるよ」
作詞曲／小島僚介
-----
最初に履いた靴を覚えている？
最初に捨てた服を覚えている？
たった今も繰り返される
喪失と獲得

手に入れたときの喜びも
無くしたときのかなしみも忘れていく

嬉しくて笑って不安がって怒って
独りでに拳は揺れる
無くしたときにはあるものを数えよう
そしたらいくら失っても歩いていけるはず

最初に掛けた言葉を覚えている？
最初に切れた繋がりを覚えている？
何処かでも繰り返される
喪失と創造

作り上げたときの喜びも
壊れたときのかなしみも思い出せない

嬉しくて笑って不安がって怒って
聞こえる奥歯の泣き声
それでも思い出せるさ　笑っている自分を
今までいくら失っても歩いてこれたってこと

失いそうで不安になり離すもんかと怒り
失って静かに諦める
でもまた手伸ばして　また手に入れて
また笑って　そう　繰り返してきた

嬉しくて笑って不安がって怒って
そっと頬を濡らす
無くしたそのときいつも隣に
君がいてくれる
だからいくら失っても歩いていけるよ

歩いていけるよ
-----

歩いていけるよ

「ラブソング」
作詞曲／小島僚介
-----
聞こえるだろう　テレビ、ラジオ、スマートフォンからだってさ
どこでもお手軽に
「愛してるよ、君はどうなの？」なんてやりとりはもう
お二人さんだけでやっておくれ

傾いた僕の胸には響かないヒットチャート
でも何も人間だけじゃない　愛を歌うのは

愛　あちこちから小さなラブソング
愛　あの草むらから　そこの川辺から
聞こえる

聞こえるだろう　春夏秋冬　呆れるだろう
もう年がら年中さ
誰かの歌う声がするわからないけどきっと
愛してるって伝えたいんだよ

愛　あちこちから小さなラブソング
愛　あの公園から　そこの路地裏から
聞こえる

スズメもコウロギもイルカもイヌも愛を歌う
ただの鳴き声か歌声かはあなたの耳に任せるけど
ラブソングが愛されるのは実に自然的なことで
アイシテルを伝えるのに百の言葉を探すより
歌う方が早いのかもね

愛　あちこちから小さなラブソング
愛　その胸の中から　この心から
聞こえる

愛　聞こえる
-----

ラブソング

「星のレクイエム」
作詞曲／小島僚介
-----
あれとこれをくっつけて
それも装着してみよう
好きなように色を塗る
アクセントには原色を

そうして名前もない宇宙船は
地球に黙って今飛び出した

もうこれで何回目の打ち上げになるんだろう
大きな月 目掛けて
今となっては小さな星でもいいからどうか
抱きしめて

あの頃に馳せたような思いなど忘れてしまうくらいに
暗闇が多すぎていつまでたっても月は遠いまま

大気圏過ぎたあたりで
本当は熱くて疲れて削ぎ落とされて

もうこれで何回目の打ち上げになるんだろう
大きな月 目掛けて
今となっては小さな星でもいいからどうか
抱きしめて

この光はなんだ  懐かしいな
ああ、いつかの宇宙船か

誰にも届かず独りきりの君
どんな色より眩しく浮かぶのに

もうこれで何回目の弔いになるんだろう
夜を彩る君がまた僕を駆り立てる
宇宙へ
-----

星のレクイエム

「アイマイ」
作詞曲／小島僚介
-----
櫛がつむじ駆け抜けてさらった
さっきまで必死にしがみついていた髪
金属製の冷たい口が含んだ
不潔を孕み食いカスと化した爪

君が僕を呼ぶときどこを見ているのかな
僕って一体何？

千切れた欠片  それは僕なのか
ずっと一緒だった  それは僕なのか

目の前に出された肉塊
一体どこのどなたのミンチかな
油まみれの誰かを橙色の炭酸で流し込む
口まで運んでやったのにそのあと音沙汰もない
人混みに紛れ揉まれ隠れ消えるように去っていく

いつどこでアレは僕になっていくんだろう
消えた150gはどこ？

千切れた欠片  それは僕なのか
今一つになった  それは僕なのか

人は約3000円で買える成分で出来ている
少年だった僕らに先生は言った
いきものはなぜ生きていると思う？それは子孫を残すためだ
少年だった僕らに先生は言った
腑に落ちなかった

僕って一体 君って一体何？

これは僕なのか それは僕なのか
DNAも戸籍も後付けじゃないか
君が僕を呼んだ 僕は振り返った
それでいい気がした
君が僕の何かをみてくれているなら
-----

アイマイ

「オーフレンド」
作詞曲／小島僚介
-----
なぁ僕らがまだ律儀に黄帽かぶって帰ってた頃
「ああお前がいなきゃつまらないや」そう僕に言ったあの日の君

僕なんて返事したっけ？思い出せないや
だけどこの思い出は忘れないよ

あれからどれくらい経ったか
もうわからないけど君はどうしてんのかな？
疲れて止まって振り返った
そしたらあの日の君の笑った顔
ねぇ、まだ友達と呼んでいいかい？

ああ、僕らは結局制服変わっても同じ場所へ通っていたのに
互いの世界が少しずつ作られて
いつの間にか離れていった

それに対してなにも思わなかった

最後に君を見た日のことを思い出せないよ
最後に君と話した内容も思い出せないよ
でも近くにいるのに離れ離れで過ごしたある日
君はふと照れ臭そうに僕をあだ名で呼んだ
ずっと忘れないよ

いつから会わなくなったか
気にもしなかったけど今更少し気になるよ
疲れて止まって振り返った
そしたらいつかの君の横顔
もう友達なんて呼べやしないけど

確かにあの日の僕らは笑い合った
----

オーフレンド

「遠くの町」
作詞曲／小島僚介

-----
「ハッピーエンドなんて映画だけさ」
斜に構えわかったような顔してさ
あのコに声掛けられただけでニヤついているくせに

手に入らないものはいらない
そう思うのはもう傷付きたくないから
そんなことわかっているんだよ
もうどこかへ消えてしまえお前

「大人になれよみんな何かを捨てて生きてる」
それが何か僕に関係あるのかよ

縄を吊るすのも面倒くさい
でもこのまま生きていくのもなあ
だからどこか遠くへ行きたい
遠くの町へ

酒もタバコも好きじゃないし
オトナなお店はもはや異世界
食べ物も不味くなければいいしで
差し色のない日々

これといった趣味も特にない
僕が消えても誰も困らない
生きていたいけどがんばるほどの
価値も感じはしない

肝臓を壊して酒飲んで
肺を汚してタバコ吸って
誰かを傷つけても笑う方が
もしかしたら幸せなのかな
ならば今のままの方がいい気もして

兎に角飛び降りるのはちょっと怖い
でもこのまま生きていくのもなあ
だからどこか遠くへ行きたい
遠くの町へ

いつもの朝 目的地とは
反対の切符買って
それ以外ゴミ箱へ捨てたら
さあ遠くの町へ

なんてね
-----

遠くの町

「やさしい暗闇」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
君を抱きしめたら暗闇が僕を包んだんだ
眩し過ぎる世界で生きる僕の本当の光だ

一人だって別にいいんだ 気楽なもんさ
でもいつだって辛くなっても涙はサボっている
この胸の痛みが苦しみが行き場を出口を求めている

ここだよ ここだよ 疼く場所 上手く言えずに
世界で一番優しいものを探して
少しだけそのままで あと一秒でいい
凍った心が君の温度で溶けていく

君は医師免許もこの不快な動悸に効く薬も
持っていないのはわかっている
それでもこのあたたかい行き止まりに
寄りかかっていたい

ここだよ ここだよ 痛む場所 上手く言えずに
世界で一番優しいものを探して
少しだけこのままで あと一秒でいい
沸き立つ心が君の温度で凪いでいく

僕より小さくか弱い君
でもそんなこと関係なかった
僕にはないその輝きが
心のひびを埋めていく

ここだよ ここだよ ポツリ 呟いてみたりして
自分だってどこが痛いのかもわからぬくせに
少しだけ 少しだけ そう1秒でいい
傷だらけの心が君の温度で癒えていく

君にとっての僕もそうであれたらいいな
-----

やさしい暗闇

「レジ袋」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
夜の交差点のど真ん中
赤青黄色の信号と
ストロボみたいな街灯に
照らされ踊るレジ袋

捨てられたか 落とされたか
そんなことは知らない
でもあいつが羨ましい
規則、喧騒、人間、
社会の縮図のような交差点で
ひとりだけ自由だ

空っぽの自分を活かして
トラックの風と手をとって
好きにしているポリオレフィン
空っぽの僕は見惚れてた

ダンスダンス 自由に
ダンスダンス 不規則に
ダンスダンス 適当に
ダンスダンス 身勝手に
ダンスダンス 風がままに
ダンスダンス 狂喜的に
ポリオレフィンのダンス

捨てられそうな
落とされそうな
こんな僕はいつも
必死こいて何かにぶら下がる
規則、喧騒、人間に挟まれ
身動きが取れないんだ
でもきっとそれはそれで
楽ってことなんだろうな

空っぽの自分を活かせない
世間の風と手をとれない
好きにしてても気付かれない
空っぽの僕も踊りたい

夜の交差点のど真ん中
赤青黄色の信号と
ストロボみたいな街灯に
照らされ踊るレジ袋

ダンスダンス 自由に
ダンスダンス 不規則に
ダンスダンス 適当に
ダンスダンス 身勝手に
ダンスダンス 風がままに
ダンスダンス 狂喜的に
ポリオレフィンのダンス
-----

レジ袋

「アイの歌」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
「この世で一番欲しいものはなんですか」
一杯の水だと答える砂漠の民
無償の愛だと答える孤独なCEO
あの日のママだと答える銃を背負った少年

僕は

座ったままでも欲しいものが手に入る
黙ったままでも思いは遠くへ届く
貧困も差別も戦争も習った部屋の
壁には将来の夢が貼り付けられてる

手に入っていることには気付かない
そんな僕らの知らぬ痛みがある

「どんな富も名誉も愛がなけりゃ意味がない」
誰かがそんなこと歌っているのをよく耳にする気がしてるけど
それも生きて笑いあってこそ感じられる

いつも通りを愛せないのは失っていないから
何かを誰かのせいに出来るのは誰かがいるから
目に映る全てを僕らは愛せるのに
日々無駄にして過ごす

「僕らは一人じゃない、なんだって乗り越えられる」
誰かがそんなこと歌っているのをよく耳にする気がしてるけど
それも生きて笑いあってこそ感じられる

明日を願う内は何も目に入らない
明日を願う内は何も手に入らない
明日を保証された僕らがぶら下げる退屈
明日を保証された僕らが歌う反戦歌

愛だけあったって腹は減る一方で
金だけあったって虚しさは増していく
「この世で一番欲しいものは何ですか」
この問いの後に「叶える」とは
誰も言ってくれない

なら

せめて生きて笑いあって
どうか生きて笑いあって
-----

アイの歌

「『ルーシッドリーミン』」

作詞曲、編曲／小島僚介

-----
空駆ける鳥が羨ましくて
アスファルトを思い切り蹴ったら
マントも持っていないのに
僕は雲の上

監督も脚本も主役も僕
自由そのものさ

なんでも思い通りの世界だ
さあ 次は何しようかな
なんでも思い通りの世界で
この願いだけは叶わない
「どうか終わらないでいて」

「カット」と怒鳴りつけるアラーム
その口を塞ごうと手探る
監督気取りのそいつは
ベッドの下に逃げ込んで
まだ叫んでいる

カメラも脚本も演出もない
さっきとはえらい違い

なんにも思い通りにいかない
ああここでは何もしたくない
なんにも思い通りにいかないのに
あの願いだけは叶ってしまうんだよ

他人とは違う特別な僕
少しのナルシズムと喜びだけの国
ビザは切れた
渋滞した環状線 雨を照らすネオン
そんな淀みさえも愛せる町
「おやすみ」

なんでも光って見えるのは
僕の目が輝いているから
なんでも優しく響くのは
この胸が満たされているから
ほら「３、２、１、Q」

終わった今 飛べなくても
「３、２、１、Q」
-----

『ルーシッドリーミン』

「スーパーボール」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
石よりは柔らかい
掌より少し硬い
カサブタがついたみたいな球体
色も形も違う
大きさも様々
透明だったり光ったり十人十色

キャッチボールするには小さい
これはどうやって使う

強く叩き付けた
握りしめ叩き付けた
振りかぶって足元へ

高く高く跳んだ
屋根より高く跳んだ
コンクリート蹴って空へ
そしてまた足元へ

ヒビ割れることもある
形だって変わるさ
汚れて色も変わっていく
それでもまだ跳べるよ
それだけは変わらない
でもここにいるだけじゃダメなんだ

強く叩き付けられたら
ひどく痛みが走るけど
もう一度空へ飛びたいんだ

強く叩き付けてよ
誰か叩き付けて
振りかぶったら足元へ

そしたら高く跳べる
どこまでも高く跳べる
コンクリート蹴って 空へ
空へ

嫌にもなることばかりさ
でもその度に空を見る
土を舐めたその後に
誰よりも高く飛ぶんだ

見てろよ
-----

スーパーボール

「今夜、誰かの」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
ヒーロー映画を見たその日
やけに値の張ったフィギュアを眺めてた
ヒーロー映画を見たその日
パンフレットに手を伸ばしてやめた

「今夜、誰かの」

ヒーロー映画を見たその日
ショッピングモールの吹き抜けを見下ろした
ヒーロー映画を見たその日
猫背の自分をトイレの鏡が映した

「今夜、誰かの」
これ以上はクサすぎて言えやしないよ
「今夜、誰かの」
マントの代わりに「平凡」を着こなすくせして

ヒーロー映画を見たその日
自転車に乗っていつもの道を帰っていく
ヒーロー映画を見たその日
素人のブログで映画の評価を見てた

「今夜、誰かの」
これ以上は似合わないからやめておくよ
「今夜、誰かの」
なんて胸が踊り始めたって僕は僕

スクリーンが僕を照らした
臆病な僕を照らした
それでも帰路に着く僕の何かが変わっているといいな
まずは今夜、大切な

「今夜、君の」
-----

今夜、誰かの

「Dramatic Loop」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
雀の歌声が朝日の背中を揺する
雲を押しのけて起き上がり
少しずつすべてを照らす
否応なしに平等に
今

開いていく開いていく空
塵一つも逃しはしない
光が包んでいく
少しずつ少しずつほら
回り始めた歯車
世界は動き出す

うつむくサラリーマン
黄色い帽子の列
時には家に帰る者
ライン工のような交差点
暗がりに身をひそめる罪人つみびと

照らされていく照らされていく街
手で覆いたくなるくらいに
光が包んでいる
伸びていく伸びていく影
まるで過ちのようだ
やがて闇に紛れる

青色からオレンジ色
オレンジ色から紺色
そうして空は眠った
星も見えないうるさい街
せめて空みたいに瞬く
人の数だけ光る町

ため息と高笑いが入り混じる夜
善も悪も最後には静かに眠る

闇の中で
-----

Dramatic Loop

「はかせの話」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
いつかの有名なSF映画
キッチンくらいの背丈だった僕は
描かれる未来の世界を夢見て目を輝かせた
絵を描いた おもちゃで遊んだ
眠る前に想像した

アイツに話したっけな 笑った 笑い合った

夢はタイムマシーンに乗ることさ
「映画の通りなら生きてるうちに乗れるぞ」 なんてね
未来の世界で遊びたかった
未来が何かもわからずに

いつかの有名なB級映画
つり革を握りぼんやり思い出す僕は
描かれた未来と同じ西暦の下に生きている
絵は描かない おもちゃも買わない
気絶するように眠る

アイツは忙しいってさ 笑わない 笑えない

出来たらタイムマシーンに乗りたいな
「映画の通りなら今すぐ乗せてくれるのに」なんてね
未来の世界を想う日々の方が
あの日の未来より光っていたから

キッチンくらいの僕が
今の僕を後ろから照らす
伸びる影は僕の未来を少し黒く染める
その先へ行くために
すべてを断ち切って作ったよ
アイツは信じるかな

夢のタイムマシーンを前にして
一つだけ気付いてしまったんだ
行きたい場所なんてもうどこにもないこと
下らぬ日々を愛していた
削れながら夢を追う日々を愛せていた
僕に残されたのは手垢のついたコレだけ
-----

はかせの話

「社会」
作詞曲、編曲／小島僚介

-----
わかったような顔してあれがダメでこれはこうでお前はああした方がいいとかなんとか そりゃ素直に受け止めてられない日もあるよ

うんざりしているよ
ほらもうどっか行けよ
気に入らないのなら
どうぞ捨ててくれ

「ここにいていいよ」
なんて言われる前から
ここに立っているんだよ
泣き笑い愛し生きている
許しなど要らない
大きなお世話だ

例えばダサいだなんだと嗤うやつが着ている服なんて真似したいと思わない 鬼の首を取ったように騒ぎ叩く人に捧ぐ言葉は一つ
「で、誰お前」

収入学歴性別に育ち
それで人が図れるのなら
もう少し生きやすい世の中に
なっているはずだろお偉いさん

人は人を変えたがるけど
自分を変えたがらないよな
正義とか転嫁とか惰性で誤魔化して

秩序も平和もこの堅苦しい空気が支えている
それでもわずかな主張を片手に
自分を保っている

「ここにいていいよ」
なんて言われる前から
ここに立っているんだよ
泣き笑い愛し生きている
許しなど要らない
大きなお世話だ
-----

社会

「トバリ」

作詞曲、編曲／小島僚介

-----
針の山を歩いてる天を仰ぐ
あそこに行くとすべて思い通りらしい

YouTubeとツイートと借りた本
幸せの入手経路探してる でも

どこにもないの
四角の中は幸せそうだな

思い返してみた 笑った日何してたか
誰かといた 外にいた 遮られなかった

ここではないよ
僕が笑う場所

そこではないよ
君が笑う場所
-----

tobari

「星影」

作詞曲、編曲 / 小島僚介

-----
最期の和音が鳴り止んで
最後の言葉を交わした
喉を締めていた引きこもりの涙は
夜風に溶かされそのままなくなった

耳鳴りだけが覚えてる
あの温度、音量、色彩
耳鳴りだけが覚えてる
あの日のすべて

あなたはもうここには来ない
あなたはもうここから見えない
でも消えた星が僕らを照らすように
まだ光ってる まだ光ってる

この日のことも少しずつ
静かに忘れていくんだろうな
何を聴いて何を見たのか
きっと思い出せない日が来てしまう

耳鳴りだけが覚えてる
あの温度、音量、色彩も
やがて消えてしまうんだろう
耳鳴りと共に逝くんだろう
でもこの僕だけが覚えてる
あの言葉、音色、魂
きっと消えることはない
あの光の様に

あなたはもうここには来ない
あなたはもうここから見えない
でも消えた星が僕らを照らすように
まだ光ってる まだ光ってる

まだ追いかけてる あの光を
-----

ライカシア Official

Popular tracks