泡沫放て

泡沫放て

shigeyamaryo

追いすがった理想は
逆さま蜃気楼
夕立と呼んでいた
今はスコールという

急がなきゃ そう誰しも 駆け出して
人並みの声になってく そうだ
うだるほどに 心地よく 絡まる呼吸は
もう痛みだ

放てよ
御託はいい

エスコートしたはずの君は
市営のプールで取り逃がした
エコーの飽和していた夏に
そう ひとりぼっちで
うたた寝ばっかしていた日々が
溶けてざわめきだした
放て
泡沫でも

立ち尽くしたうなじは
果てしなく遠くて

花火の音で…

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