「うねるプール」

わくなしプールの中で
まともでいられるかな
ぼくは一人宙を泳ぐ
不在と暮らすことは
それほど悪くないよ
藪の中を手を取り合って

ゆらゆらと落ち着かない
蟲を殺すと僕らは脆く
数字に化けて夜を待つよ

底無しプールの中で
電波が届かないね
息をしたら水にバレる
風船縮むように
からだが軽くなるよ
売れる臓器　掃いたホコリ

ゆらゆらと輝いてる
ひとみの奥で素直に脳を
明け渡した君は泣いてた

花粉を漂わせて
音もなく舞い降りた君
はっと我に帰らされるのさ
君は澄ました顔で
ドタバタなショウを眺めてる
君のそばは居場所に困るんだ

ゆらゆらとくゆらせてる
ひとみの奥で上手にノーと
言えなかった君が泣いてた

君がキャンパス歩くだけで
虚無に震えるぼくはいない
いくら戻ったら白紙に帰れるの
白いひらひらそよぐだけで
愛されそうな君が好きさ
君が忘れても僕は覚えてるよ

うねるプール

「クロネコの詩」

指の先はポケットの中
寒空の下次へと向かうよ
冬はきらいって言って
みんなどこかへ潜り込んでしまった

あの透明列車に乗れば
何も考えずにすむ
あの夕日の中を横切れば
歩く必要もない

とても優雅に見えたあなたが
暗い曲り角を曲がって
崩れそうな素肌のまま
大人にさせてよと吐いた
囁いた

家の中は暖められて
人々は飼い猫と笑い話す
僕はいつものように
数字を頼りにポストを巡るよ

僕の透明無垢な頭脳に
誰かが意思を流し込んだ
あの少年兵士のように
少しずつ少しずつ
溺れていくその前に


カバンに溢れた言葉
紙飛行機にして飛ばすよ

ときどき不安になって
夢はここまでな気がする
カルチャーや宗教や国家も
僕を飲み込もうとする

そんなときはどうしようもなく
君と話したくなるんだ
信じる心を少しでいい
僕に分けてくれるかな

Magic Son

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