この曲は僕にしては、今迄ずっと避けていたメーッセージ・ソングの一種なんだ。(その手合いはクサい国産フォーク/ロックみたいで基本的に大嫌いなのだ。)それは「普通に狂う」事が芸術的根源になるという事についての言及だ。この詞で登場するのは「僕」、「We＝僕等」、「You or Your＝あなた」だけだ。(僕は三人称はほとんど使わない＝ジョニ・ミッチェル的告白型シンガーソングライターとも言える)それは伝統的詩作のような三人称を使った物語調の曲ではなく、自分の心の内を書く事を意味する。つまり、芸術と呼び得る音楽 or 非常に良質な音楽を生み出す苦悩とは「普通に狂う」事であり、それはある種の音楽的グル(＝導師)の導きにより具現化しているという事だ。要するに、先人の"偉大なる音楽的瞬間"を狂おしい程切り取り、貼り合せる日々の積み重ねと「普通に狂う」日々との繰り返しに挑む生活の中にこそ「ホンモノ」になる可能性を見出せるという事が論点なんだ。心底に潜む「狂気」は、他人に迷惑を掛けない「普通の生活」の中で滲み出てきてしまい、それを何とか隠しながら、生きていく事を「普通に狂う」と表現している。音楽的に言うと、これは何から何まで全てがソウル・ミュージックだ。もう少し具体的に言うと、土台部分は死ぬ程好きなマーヴィン・ゲイの　"What's Going On" というより"Mercy Mercy Me" にある。(転調は"What's Going On"的だが……)唄い出しのAメロ(＝Em7-Dmaj7部)は大好きなスモーキー・ロビンソン風だ。その次のセクション(Wow-----の部分＝Fmaj9-C/E-Dm9-D7/F#-E7/G#の部分)は、モータウンの専属ソングライター & プロデューサー＝H-D-Hのパターンだね。次の"It's Up To You, Baby"のパート(＝Ａｍ9-D9の部分)はフォー・トップスみたいだ。そして突如とカットインされているのは、アルバム収録曲＝"Tidal Wave" のエレクトロニカ・ヴァージョン。そしてアウトロでは、この曲における僕の最大のメッセージをバック・ボーカルが繰り返す。この部分は Amaj9-Emaj9-Amaj9-Emaj9-F#m9-Bm7/E-C#m7/F#-Dmaj9-Dmaj9/D#-Bm7/E-E6といったコード進行になっている。もはやここまで来ると、ギターでは絶対書けないシロモノだね。勿論、僕は鍵盤でこの曲を書いている。このレベルのベース・ラインを"作曲"した上でピック弾きでレコーディングするという事は、僕の貧相なベース演奏技術では相当に困難だ。(僕はベースはピック弾きしか出来ない)まず間違いなくこのレコーディングは、僕のキャリアで最も時間と手間が掛かったモノであり、誇りに思うモノでもある。(今回のアルバムで最後にレコーディングした曲でもある)本当に、レコーディング中は気が狂わんばかりにもがき苦しんだ。僕はミュージシャンとして「演奏能力」と「器用さ」には恵まれなかった。勿論、声(＝ボーカル)にも恵まれなかった。その結果、そこにはギタリストとも、ボーカリストとも言い得ない実態の"見え辛い"ミュージシャンが生まれてしまった。

To Be Real

Composed & Arranged by Wizard

Lead Vocal & Drums by Mr. O "The Highwayman" 
2nd Lead Vocal, Background Vocal, Electric Guitars & Electric Bass by Wizard 
Piano Bass by Mr. K "Tanoh 4th Street Ukulele Association" 
Produced and Engineered by Wizard

Recorded at Studio You Suita,Osaka, Winter 1985 
Guitar Solo Recorded at Chocolate Flower Studio #1, Winter 1985 
Fomat: Tascam Porta One 4tr Cassette Recorder⇒2tr Cassette Master⇒Cubase

I Need You

Composed & Arranged by Wizard

Lead Vocal, Drums by Mr. O "The Highwayman" 
2nd Lead Vocal &  Electric Guitars by  Wizard 
Electric Bass & Background Vocal by Mr. K "Tanoh 4th Street Ukulele Association" 
Drums & Background Vocal by Mr. N "The Quiet Guy"
Produced and Engineered by Wizard

Recorded at Studio You Suita,Osaka, Winter 1986 
Fomat: Tascam Porta One 4tr Cassette Recorder⇒2tr Cassette Master⇒Cubase

Dirty

I Call All Bands I Joined in my younger days "The Valuable Relic Band"-----A Wizard Of Swamp