残響と情景

残響と情景

Tsuruta Toranosuke

消え入りそうな声を
僕が見失ったいつかの
淡い夜の独り言
君が繰り返していた

誰もいない路地を
抜けた黒猫の影も消えて
色の無い月が見えた
街灯は静かに灯る

残った香り欠けていく月に
焦っている僕らの音が消えていく
霞んだ光満ちていく闇に
戸惑った僕らの声は届かない

かき消された言葉を
忘れていたふりをして
街の文字でごまかした
君のささやきを逃してしまう

歩く海沿い夜の防波堤
沈んでいく夕陽を思い出して泣く
浮かぶ灯火、潮風の…

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