詩の朗読「灘岡父さん殺処分係の数奇な一日」竹下力

詩の朗読「灘岡父さん殺処分係の数奇な一日」竹下力

竹下力

もうこれ以上どこにも行けないから
どこにも行かない決心をしたのに
どこかにたどり着いてしまった寂しさは
いくぶんいい慣れた言い訳をしながら
朝の雷鳴が始業の合図となって灘岡団地からトボトボと歩くだけで
罵声を浴びながら町のみんなが責め立てることに苛立ちもなく
僕を処刑場のある炭鉱のトロッコの奥に運んでくれる
あまりの辛さに幽霊になった奴もいるけれど
父さんは母さんをレイプするシーンを見ていた訳だし
僕のクソみたいなルサンチマンは勃起的な…

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