詩の朗読「灘岡三好一家心中……お願いだからダイナマイトの導火線に火をつけて」竹下力

詩の朗読「灘岡三好一家心中……お願いだからダイナマイトの導火線に火をつけて」竹下力

竹下力

僕はもうこれ以上、上手に生きられない。
僕はこれ以上上手に空っぽになることができないから。
僕を満たす涙を星のように炭鉱の天井に貼り付けて。
僕ら家族は今、湿気たダイナマイトを口に咥えて泣いている。
炭鉱に入り込む2月の冷たい風が僕の涙を乾かす前に僕らを爆破させて。
お願いだからダイナマイトの導火線に火をつけて。
僕には何もない。僕らは空っぽだった。誰かが満たしてくれたら。
そんな幸せな願いも、約束も、僕には何も意味をなさずに。
なんと…

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