虚に花

息は白く、佇む僕を
滲む街灯の明かりが照らす
「冬の匂いがした日曜 
    来るはずのない便りを待ってる」
夢想するうちにあてもなく暗れ惑って

「 篠突く雨が降り止まないまま
　いつしかあなたが来る日を
　私はここで待っている」
   
「君はどこで見ているのだろう
   移ろいゆく季節の航路を」
無論其れもまた独り言にすぎない

「 東京はネオンに溢れ
    いつしか本当の夜はなくなった
    うまく笑えない私の虚ろに花を
    悲しみに似たその色を この歌を 」

手のひらに収まるだけ
それだけの幸せを
そうして僕ら忘れていく
虚ろに花を手向けて

虚に花短縮版11_29.mp3

下北沢炎上

俺はこの迷路で死に至る病を買う
くたびれたスニーカーにへばりつく不信感
夢追いは破れて路地裏で鼠と這う
ほろ酔い気分のまま口遊むモリタート

着飾る者、商う者、食らう者、粗忽者
うらぶれた俺を横目にケラケラと笑う者
上っ面の感傷は概してよく燃えるのさ
俺は俺を見くだすこの街に火をつける

東京は燃えてるか

羽のない紋白が道端で藻搔いていた
なんだか俺に似ていてそれを踏み潰した



グラウンドゼロに咲いた一輪に抱く慈しみを
隣の見知らぬ誰かにも
いつか失うときのため
君を愛していると言っておくよ

sasaken