向かいのマンションの窓にうつる
朝焼けがとてもきれいに見える
眠れず迎えてる朝にこんな
奇跡を知るとは思わずにいた

頼んでた荷物がまだ来てないから
もう少しだけ 死なずにいるよ

よくある絶望 よくある苦しみ
よくある願いに よくある別れが
訪れてもまだ 私は生きてく
かなしいみたいに 感じられても


膝で眠る猫のぬくもりに
自分という個体を教えられて
私も誰かの猫になれたら
外側の誰か 動かせたなら

素晴らしい景色が 私を待つなら
もう少しだけ 死なずにいるよ

よくあるよろこび よくある尊さ
よくある痛みが よくある出会いに
まとわりついても 私は生きてく
さびしいみたいに 感じられても


誰かの分まで 生きられるほどの
たいした命で ありはしないけれども

よくある奇跡が 私の世界を
照らすつもりなら その気があるなら
もう少しだけは 少しだけだけど
私の分だけ 生きてもいいよ

私の配当

標準装備も与えられない
足のつかない箱庭でもがく
手をとりあった可愛いひとは
息が足りずに離ればなれになった

泥水の中終わりたいと願うけれど
生まれた意味がこれだけじゃ

神様
あなたが私達の
大切なものを奪っていくなら
私は歌うことをやめない
あなたの朝に目覚ましよりずっとはやく
愚かな歌を聴かせにいくから
それまでずっとなくさないから

いつになれば許せるのか
許した人から許されるのか
許したいのはあなたなのか
それともここにある自分自身なのかな

後ろを向くことに意味はないけれど
愛せない今は未来だった

神様
私があなたならば
きっとそのままの私を愛すから
あなたもきっとそうなんだろう
そして私達が最後に出会うとき
愚かな歌を聴かせてほしい
それまでずっと夢みてるから

いつかの自分にまだ言えない
生きているよと泣かないでを握って
それだけを希望と今は呼びたい
宇宙に沈む真っ暗の夜の中で
愚かな歌を聴かせにいくこと
それだけずっと夢みてるから

祈り

君と別れてひとりの夜道は
世界の終わりみたいに真っ暗
なんてね 本当は君との明日へ
続く道だって予感してるのさ

ああ センチメンタルな風に吹かれて
ああ 絶望のステップは軽やか


しばしの別れ 愛しの君よ
LINEですぐにまた話せるけど
風情がないと僕は思わない
君の電波は夜空を流れて

ああ ただいま帰りました の一言が
ああ こんなふうに僕の頬撫でる


僕がひとりでギターを弾く時
君もひとりで映画を観ててね
違う街に別々の毎日
そんな時でもきっと僕たちは

ああ 君の事うたってるはずだし
ああ 主人公は僕に似てるでしょ？


予言が嘘になったその日から
新たな時計が刻みだしてる
君の好きなヒーローも勝てない
相手と僕らは対峙している

ふたりの 背中を何かが忍び寄っても
それまで ゆっくりの時を繋げてこう

スウィートラブレター

時間はそれほどに与えられず
私は空想みたいな優しさをひろげる
輪郭をなぞるのが下手だった
上手くならないまま大人になった

何もかもが私を追い越す
箱から飛び出すような悪夢とか

思い出の前の私は無力で
浴槽に沈む子どもみたいに
すべて洗い流せはしないこと
分かっていても身を隠している


時間は雄弁で誠実だった
そして不平等で優しくはなかった
私の得意なことでは誰かを
救えはしないとその時教わった

何もかもが私を追い越す
箱にしまっておきたいような花とか

悲しみの前の私は非力で
浴槽に沈む子どもの頃と
何も変わらないままの深夜
重たい布団に身を隠している

真優

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