「苺ミルク」

もし神様がいたとして　手なんか差し伸べちゃくれないよ
きっと黙って見ているさ　ぼくの甘ったるい熱病を
もし神様がいたとして　恋なんか叶えちゃくれないよ
きっと呆れて見ているさ　ぼくと君がすれ違うのを

桃色の糸もつれほつれ　ぼくの勇気ももつれほつれ
君と誰かが絡まっても　誰も解いてくれない

抜け道を探して　君と肩並べ歩きたいな
パン屑を拾うから　神様　行き先を教えて
いじわるをしないで

もし神様がいたとして　ぼくなんか忘れられてるんだ
ノートの短冊に書いた　願い黒ずんで掠れた

桃色の糸もつれほつれ　ぼくの言葉ももつれほつれ
クラスメイトのあの子と　君は手を繋いで、

君の
手のひらにおさまる　苺ミルクになれたら
小さなほくろに　微笑みをあげたい
神様　いじわるをしないで　ぼくの恋を隠さないで
「好きです」と言えない　君の苺ミルクになりたい
君と苺ミルクを飲みたい

苺ミルク

「盲滅法」

もしかして今日もまた同じ朝　同じたれこめる雲
消えない雲
もしかして明日もまた同じ夜　同じ色の月
君に着信履歴残せぬ果てのない夜

ねえいいの？　私と笑っていてもいいの？
隣を歩いていてもいいの？　いいの？　残らず教えてほしい
ねえいいの？　私と同じ香りでいいの？
肩に寄りかかってもいいの？　でも今日も聞けない

もしかして先もずっと同じ梅雨　同じ透き通る雨
冷たい雨
もしかして明日もまた同じ春　同じ色の花
君に散って乱るる刹那ばかりの春

それでもいいの？　君は一人ぼっちでいいの？
瞼閉じたまんまでいいの？　いいの？　怯えず伝えてほしい
それでもいいの？　濡れた鼠のままでいいの？
私の手がなくてもいいの？　でも今日も見えない

六十回もの朝が来て　六十回もの夜が来る
散り散りの意識　散り散りの四季　散り散りになる私たちの運命
六十回もの問いかけに　六十回も俯いた君の涙
風よ！　散り散りに　散り散りにしてしまえ

ねえ君よ　同じ季節抱くのに　この背預けぬままで
離れ離れ選ぶなんて　つまらないでしょう
それなら明日も　何も見えぬ今世に惑うのなら
同じ光の色の傘をさして歩こう
それなら今日も　息ができるでしょう

盲滅法

「躁鬱モラトリアム」

あたしの毎日　どうなるか分からない
君と大爆笑ののちの　朝の遺品整理
あたしの夜は深い　誰にも知られぬよう練炭注文
ビニール袋の中で目を覚ます

どうなっちゃうのかな？　あたしの将来は
専門書何度読み返しても「治らない病気です」
どうなってんのかな？　あたしの脳みそは
どこから正気なんだろうな　もうあたしにも分かんないよ！

恋人・結婚「てめーはすんな」いつか車を買うことも
諦めて当然だっつーの？　心を病んでたら
歌っちゃいけない？　遊んじゃいけない？
身分相応の小さな小さな幸せのカケラで満足しなきゃ
我儘だってのか？

どうなっても知らない！　安っぽい偽物の
笑顔の仮面を増やしたのは　あたしなんかじゃない
どうなったっていい！　慰めなんていらない！
あたしの過去をめちゃくちゃにしたのは　あたしなんかじゃない！
ない　ない　ない

無責任？　ガキンチョ？　世間知らず？
心が未熟？　身の程知らず？
無知？　傲慢？　甘え？　キ◯ガイ？
「これは優しさ　正しい世の中の常識」
あんたらが何を知ってるっての　あたしの人生の！

どうなっちゃうのかな？　あたしが知りたいよ
明日のあたしは笑ってる？　それとも泣いている？
どうかお願いだよ　引き裂かないでよ
あたしの大事な人々と「普通」のあたしの願いを
あたしの　あたしの病魔よ！

躁鬱モラトリアム

「formalin」

錆びついた夜　君の指紋
削って卓上のジオラマ
追うのも狩るのももう飽きちゃった
血に濡れた輪廻転生

あうあ　叫び疲れた君の肌
あうあ　這わせるために研いだナイフ

骨まで愛して骨まで愛した
うなじ走る髄液に耳浸してよ
生きているでしょう？
召し上がろうよ魂を
壊れちゃうから壊しちゃうから
慈しんでよ快不快を
秘密のままごと　密やか

ひび割れた朝　完璧な
頸のあざと折れた鍵
傷の舐め合いももう飽きちゃった
行方不明の諸行無常

あうあ　逃げることは諦めようよ
あうあ　足に絡む怠惰な縄

骨まで愛して骨まで愛した
子宮満たす羊水を掬ってごらん
生きているでしょう？
垣間見ようよ地獄の火
壊れちゃうから壊しちゃうから
留めとこうよ虫ピンで
内緒の囁き　灯すよ

骨まで愛して骨まで愛した
うなじ走る髄液に耳浸してよ
生きているでしょう？
召し上がろうよ魂を
壊れちゃうから壊しちゃうから
慈しんでよ快不快を
秘密のままごと　続けてよ

愛してるから愛してる
だから君の心臓切り取って
見えないように聞こえぬように
あたしを知られぬように
壊れるから人は壊れる
だからもうどこにも行かないで
ホルマリンの匂い
永久にここで眠って

Diary

formalin

「フォトジェニックじゃなくてごめん」

100ふぁぼいかない自撮り　諦め悪くうpした午後
全然似合わぬ柄の　Tシャツの裾ちぎった
汗かくまずいタピオカ　ホイップまみれのフラペチーノ
原色フィルタでばらまいた　電子の海の中

あ～ちっともかっこのつかぬ私の人生
安いひび割れのネイルのように流れて行っちまった

フォトジェニックじゃなくてごめん　インスタ映えなくてごめん
流行りの曲も写真加工も通用しねー
ロマンスがなくてごめん　キラキラしてなくてごめん
誤魔化せるやつが正義だとよく分かりました

雨だれ　憂鬱　上野　切り傷いっぱいのあの子の腕
弾丸飛び交うタイムライン　スマホの中は戦争中
松屋のチーズ牛丼　山盛りするのためらうくせに
ZOZOTOWNのセール価格　今日もチェックする

あ～ちっとも底が見えぬ私の欲望
おろしたてのニューバランスで踏み潰しちまお

フォトジェニックじゃなくてごめん　何にも武器なくてごめん
消費・戦略・見栄の上塗り　競い合っている
大きな夢なくてごめん　先読めないバカでごめん
勝算なんて何にもないけどこうして生きている

あ～どうしてこんなに愛しいガラクタばかり
逃げないように握りしめても漏れていっちまうよ
溢れていっちまうよ

フォトジェニックじゃない私は　誰にもなれない私は
流行りの曲も写真加工も本当はいらない
星の数ほどのSNSも　大志も勝算も大炎上も
全部全部手段なんだよ　言わせないでよヤボだな
私の心の奥から欲するものは
どこにあるんだろ？

night

フォトジェニックじゃなくてごめん

「far」
トラック提供：BeatMonkey様

目覚めた朝から止まる呼吸　あたしの口から吐く息ふわっと
ここ　ここはどこなの　あたし　あたしは誰って　それだけ
コサインバルタにソラナックス　幾ら飲んでも自分にはなれない
飲み損なうと次の日　あ・あ・あ　止まる　不器用なあいつ

ねえねえ誰かあたしを見つけて　オディロン・ルドンの妄想
檻付き分厚い壁にもたれて愛されてる　ここは独り

夕暮れあたしの心の中　被害者面のしつこい兎
ピキ　ひび割れる　あ・あ・あ
ねえねえ誰かあたしを見つけて　ここにいるから　だなんて
叫び聞こえない　扉開かない　あ・あ・あ

目覚めた朝から止まる呼吸　あたしの口から吐く息ふわっと
ここ　ここはどこなの　あたし　あたしは誰って　またかよ
身を切るバルタにパラドックス　組み立てをしても自分にはなれない
飲み損なうと次の日　あ・あ・あ　白い風景

ねえねえ誰かあたしを見つけて　ニーチェは一人で死んだ
細切れぎらつく夕日弾けて目を閉じる　ここは独り
ねえねえ誰かあたしを見つけて　宇宙葬されるアインシュタイン
細切れぎらつく夕日弾けて目を閉じる　目を閉じる

夕暮れあたしの心の中　被害者同然しつこい痛み
ピキ　流れゆく　あ・あ・あ
「好きって言って。皆を見つけて」そこにいる筈が　なんて
止まぬ足取り笑いだす君の　あ・あ・あ

幽霊さん

formalin（Band ver）

「寒い夜」

あなたの横を歩いていたら
イルミネーションが風に突き刺さってた
形だけのラブソングを
カラオケで何曲も歌った
本音と本性を隠したままで
可愛こぶるのを許してほしい
あたしの腐臭であなたを
腐らせぬための優しさなんだよ

あなたのまだ触れたことのない
大きくて太い指で
この胸に取り返しのつかない
傷をつけてほしいんだ

今だけあなたの隣を
独り占めできるならば
明日のなけなしの平穏を
前借りしたっていいんだよ
冷たい現実かき消すくらいの
夢を見せてくれるまで眠れない
寒い夜

人は誰しも欠けたピースだなんて
でっち上げたのは誰なの
幸福の定義を齧らなければ
不幸の味を知らずにすむ
いつか数多の人に埋もれて
忘れられる日がくるなら
最低な棘としてチクチク
思い出される方が寂しくない

私のまだ幻のような
細く青臭い指で
その胸に取り返しのつかない
傷をつけてあげようか
あなたの右巻きのつむじを
この目が見つめる時があるのを
どうか気づかせないで
終わってしまうから

今だけあなたの心に
触れることが許されるなら
昨日の淡い思い出が
消えてしまっても構わないよ
どうしても言えない
ずっと一緒に居てなんて
あたしよりも輝く星が
たくさんあるのを知ってるから

胸からドクドク流れる血液
とっくに捉えられている
何でもないよと笑っておこうか
寒いよ

寒い夜

「宅飲みワンダーランド」

パパもママも今日は留守
うざい上司ももちろんいない
待ってたこの時  この瞬間
メイク剥がしてパジャマ着て
こたつに寝転びテレビつけ
やっすいおつまみ  用意して

飲みつくせ！
冷蔵庫に眠っている
ありったけのビール！

誰も知らないステージで
踊り狂って汗だくになる
こんな顔誰にも見せらんないよ
普段の飲み会では
隅っこの席常にキープしてる
内気なあたしの
秘密のワンダーランド
飲めや騒げや一人でやるから
どうかお構いなく

大人数でもはっちゃけりゃ
いいじゃんと人は言うけど
あんたら全然   分かってない
できてりゃ苦労しないって！
そんなにとやかく言うなら
壁をあんたが   壊してよ

燃えている！
胸にしまい込んだ
宇宙のエネルギー！

誰も知らないステージで
転げ回ってむち打ちになる
こんな顔誰にも見せらんないよ
普段の飲み会では
2次会の前に姿消す
不器用なあたしの
小さなダンスホール
泣くも笑うも一人でやるから
どうかお気に召すまま

どうせお金を使うなら
美味しいお酒を飲みたいから
忘年会の出席
いつも不参加に丸つけるの
許して♡

誰も知らないステージで
踊り狂って汗だくになる
こんな顔誰にも見せらんないよ
普段の飲み会では
隅っこの席常にキープしてる
内気なあたしの
宅飲みワンダーランド
飲めや騒げや一人でやるから
どうかお構いなく

宅飲みワンダーランド

アスファルト落ちる影を踏みつぶし歩いてた
カゲロウが死ぬと同時に扉をあけてみたりして
寂しい星空にミネラルウォーター一人で見つめてた
しずくが一つはじけるたびに夏が過ぎ去るようで

昨日のニュースほど　大事な話じゃないけど
ぼんやり聞いてくれ　柔らかなきみ

今日だけでいいから　ぼくの隣で眠れ
今日だけでいいから　夢でないと笑え

遠くの波の模様をかきわけ探しもの
カゲロウの羽の模様に目をふせていた
寂しい朝日にドライブしながら手が震えても
きらきら揺れる何かを見てればしのげる気がして

そちらはどうですか　元気でいますか
手を繫いでもいいかい　夜が明けるまで

今日だけでいいから　ぼくの隣で眠れ
今日だけでいいから　嘘でないと笑え

昨日のニュースほど　大事な話じゃないんだ
一人は嫌だって　女々しく泣いてもいいかい
ぼくたちはいつか死ぬ　ぼくたちの手は離れてく
どこにでも行きたまえ　自由なきみ

今日だけでいいから　ぼくの隣で眠れ
今日だけでいいから　寂しさにキスをして
今日だけでいいから　好きだと言ってくれ
今日だけでいいから　好きだと笑ってくれよ

明日になったなら　違う誰かと眠れ

ベイビーベイビー

どこにもない　回転する丸い部屋
360もの扉が全開　興味はない

雨のライトを60キロ
ぎらぎら零れ落ちた宝石なんだと思う
古びたギターを見つめる
行きたいとこがどこにもない

あの歌が向日葵の向うではじけ飛んでいる

キスの後にできたニキビ白くなってただれた
歩いても歩いても木漏れ日は残虐であった
あった　あった
しりとりのように君たちは
いんちきというバトンを渡してゆくのだ

マントを被って照明を落とそう
行きたいとこがどこにもない
いつの間にか　知りたいことがなにもない
いつの間にか　なりたいものがなにもない
いつの間にか　聴きたい歌がなにもない

身軽なおばけになれるように
なりたての実を切って落とすのには慣れた
縦横無尽のドアに言葉遊びをつめこんで
僕たちは明日も笑って　病んでいるのだろう
病んでいるのだろう
どこにもなにもないように
どこにもなにもないように
願うなんてね

くだらない

ハローハロー

きゅーぴーの頭をかぶって　にこにこわらってはいるけれど
とくに価値もかんじない
順調に味方をこしらえてはきたけれど
案外あのこたちがさえずる悪口をしっている
無駄にかわいいものはきらい
共感することはきらい

ちょっぷすれば二つにさける桃の汁のこと
あのこの売春写真をまわし見る　おとこのことおんなのこ
何を感じたか素直にいってみればいい
何をしてきたか素直にいってみればいい
めかくし布とさるぐつわに　ろうそくを垂らしてもやしながらしばりあげる
飽きさせるのはやめてほしいんだよね
必死になることなんてやめたんだ
お前らがしてきたことを　全て告白するまで　ぼくはごうもんをやめないよ

体育館にすきまなく人をつめこんで　頭をひとつづつふみつけて歩くと
あのこたちはハイヒールに興奮して　身動きできないのがもどかしいか
へへんと笑ってやる　きゅーぴーの頭をかぶって
踊ってみたっていい　上手ではないけれど
せいぜいかわいいやつでいる　べつに苦痛じゃない
だましてだましあうのは　案外たのしいのさ

地平線まで立ち並ぶ桃尻あたまよ
これは戦争だよ
ひねくれてるなんて　ばかをいうな
お前だってどうせ　むせきにんをあいしてるくせに

むしけらたち

にこにこすてきな顔で笑ったり泣いたり
叶う願いだけしてたいだけだよ純粋に

虚しいな　苦しいな　そりゃそうな
星とかが　瞬いて　落ちてゆく

甘い汁吸って生きたいだけよ純粋に
楽しいとこだけ齧っていたいの純粋に
だけれどそうもいかないみたいね
おかしな世界

へらへらへつらいごますりぺこぺこきょろきょろ
おどおどしてても肩だけ凝ってくかったるい

めんどくせえ　やりたくねえ　そりゃそうね
花とかが　咲いてまた　散ってゆく

星空の下で笑ってたいだけ純粋に
誰かと誰かが幸せならいい純粋に
きらきらゆらゆらひらひらしてたい純粋に
だけれどそうもいかないみたいね
おかしな世界
おかしな世界
おかしな世界

おかしなせかい

かわいらしい　あの子苦い
愛らしい　あの頬以外
いやらしい　目で見ないで
弱々しいのなんてウソだし

バカらしい　あの日あたし
いじらしい　勘違い
喜ばしい　意地もない
しみったらしい　きみのせい！

愛を転がせ
愛を泳がせ
愛を狂わせ
愛をがならせ　行くぜ

夢らしい　あの事全て
嘘らしい　そんな信じねー
嫌みたらしい　いやいやーん
アホらしい　もう気にしねー

問いを投げかけ
てらいもなく歩いてけ
惑いを殺せ
愛をがならせ　行くぜ

morning

メガメガホン

今すぐ死にたいわ

努力もしないで生きてきたから　目的基地きち見当たらないの
いつまでたっても低空飛行　あたしは誰なの　誰になればいい

あなたはいつでも見知らぬ他人　あたしはあなたの君になりたいよ
生きてるだけでぼろぼろになる　ラミクタールはもう飲みたくない

こんな自分は嫌　今すぐ変わりたいわ
こんな自分は嫌　今すぐ死にたいわ

着地点どこ？ごまかしながら　あたしの生命生きながらえる
あなたの背中を追いかけながら　柔らかい後ろ髪をひきちぎる

あなたはいつでも不出来のカレー　あたしはあなたの君になりたいよ
屋上七階足が震える　いなくなるのはでも無理みたい

こんな自分は嫌　今すぐ変わりたいわ
こんな自分は嫌　今すぐ夢見たいわ

高校中退挨拶できない目あわせらんない万年床で
ひきこもりっきり口が震える夜涙溢れる、それでもね
スカートはいたりパンプスはいたり化粧がどうにもやめらんなくて
ばらまく眠剤明日あなたと眠りたいけど一人じゃなくちゃ
ねらんないってば

こんな自分は嫌　今すぐ変わりたいわ
こんな自分は嫌　今すぐ死にたいわ
こんな自分でも愛してくれる人があらわれるのかしら
明日になったら笑うことだけ信じて生きていこうじゃないの
何としてでも生きてやれ

bachigai／バチガイ

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