‎⁨נוי גבאי - שקרנית (קאבר)

שילה בן סעדון - עיר מקלט

01.אני מקווה

「掛け時計の裏に押した画鋲」

窓を閉めたとき
空気が　ひととき揺れた。
郵便受けが　咳をする。
誰も何も送らないまま
気配だけが　すり抜けていく。

掛け時計の裏に
画鋲をひとつ　押した。

理由は　なかった。
なかったことが
妙に　ひっかかった。

秒針は　進むふりをして
反射した光が
視界の端で　静かに止まる。

記憶は　名を持たず
ただ　壁になる。
照らされるだけの　静かな表面。
画鋲は　声を持たない。
それでも　押し込まれたとき
どこかで　ひとつの音が　はじまる。
言葉になる前の　重さ。
言葉にならないまんまの　意味。

ある日　部屋がわずかに傾いた。
水平線が　微かに崩れて
絵の額縁が　音もなく動いた。
それを見ていたはずなのに
それを見ていた記憶だけが
妙に　生々しい。

掛け時計の裏にある
その小さな金属の点が
空間に　なにかを留めている。
だが
留めているのではなく
重さの逃げ場を　決めているだけ。

画鋲は　声を持たない。
それでも　沈黙のどこかに
輪郭を　浮かび上がらせる。
止まったままの「いま」に
中心が　生まれる。

扉の蝶番が　かすかに鳴いたとき
その瞬間だけ　部屋の密度が変わった。

誰もいない。
けれど　何かがいる。
名を与えれば　それは形になる。
名を拒めば　そこに奥行きが生まれる。
呼びかけてはならないものの
確かな在りか。

針は　ふりかえらない。
見つめれば　かたちは　ほどける。
踏み込めば　光外れる。

画鋲は　留め具ではない。
ことばになる前の
支点であり、証であり、
触れることのできない
沈黙の始点。

まばたきのあいだに
風が壁を撫で
光が時計の端で跳ね返る。

あの日
画鋲が壁に触れたとき
この部屋は　ほんのわずかに
居場所に　なった。

‎⁨מחרוזת מלכת היופי שלי⁩

Barshpe_18

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