‎⁨ياهوى روح وقلّو كتير اشتقتلو ⁩

انا ضحكه على شفافك ♥︎

إذا انتي تركتيني و بطلتي تحبيني.

共育学園には、年齢の異なる生徒たちが通っている。
この学園のペアテストには、ひとつだけ特別なルールがある。
「記憶が残らなくても、心に残るペアであること」

⸻

彼女の名前は、ユキノ。
白髪混じりの髪と、深い海のような瞳の持ち主。
優しく笑うけれど、時々、彼女は今いる場所さえも忘れてしまう。

僕、ハルトは17歳。共育学園の高校部に通う、ちょっとだけ不器用な少年だ。
ある日、先生が言った。

「ハルト、今回のペアテストは、ユキノと組んでくれない？」

正直、少し戸惑った。
ユキノは認知症の診断を受けていて、最近は自分の名前もあやふやなことがあると聞いていたから。

でも、ペアテストが始まると、少しずつ空気が変わっていった。

⸻

テスト内容は「詩を共に創る」こと。
テーマは「春の記憶」

僕が「春って、どんな感じでしたか？」と尋ねると、
ユキノはふと、目を細めて呟いた。

「桜の下で、手をつないで歩いたの…その人の名前は思い出せないけど、あの温かさだけは…」

その瞬間、僕の胸の奥がきゅっとなった。

僕たちは、言葉を交わしながら詩を綴っていった。

―忘れてもいいの
覚えていなくても、手の温度が春だったことだけ
あなたがここにいたことを
この風が知っている―

ペアテストが終わったあと、先生が記録としてその詩をノートに綴った。
そして、僕のスマホには、ユキノと一緒に詩を読み上げた動画が残った。

次の週、ユキノは僕の名前を完全に忘れていた。

「はじめまして」と彼女は微笑んだ。

でも、詩を見せると、ふと指が止まり、彼女は詩をそっと撫でて言った。

「この言葉、きれいね…どこかで、誰かと書いた気がするの」

僕は頷いて言った。

「きっと、その誰かも、今もあなたを覚えていますよ」

⸻

数週間後、学園のホールに飾られた「春の記憶」展覧会には、
ユキノとの詩が静かに展示されていた。
「共同作者：ユキノ・ハルト」と書かれたその作品の前で、何人もの人が立ち止まり、目を潤ませていた。

本人は忘れてしまっても、
その想いは、誰かの心に、記録として残っていく。

忘れてもいい。
たしかに、ふたりで過ごした春が、ここに咲いているのだから。

‎⁨معقول الغرّام ~ نانسي عجرم

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