　BABYMETALの楽曲、”Gimme_chocolate”の音楽とサウンド解析
・
’14_07/19に大幅追加、見出し添付
・
・
　使用したソースはオフィシャルが公開しているプローモーションビデオ　www.youtube.com/watch?v=WIKqgE4BwAY　を再生、音声信号を録音抽出したものです。
・
　この曲は非常に強い中毒性があるが、その原因のひとつはメインボーカルの直前に入っている”アタタタ・・”の合いの手フレーズに深いエモーションが組み込まれているためと考えられる。
　このトラックはその合いの手（screamo）だけを取り出し、集中して聴くことができるようにしたものです。オリジナルの楽曲のまま聴こうとしても、合いの手に続くメインの歌によって、印象が変質してしまうことからうまく聞き取れないため、単独化してあります。また、声がより鮮明に聴こえるように、バックの演奏をFFTフィルターで抑制しました。
・
追記　07月16日：　このトラックと異なる手法で合いの手分離したものを追加掲載しました。より高い単独化が実現できましたが、異なるタイプの損失が含まれます。
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimichoco-matrix-screamo-only-192kbps
・
・
・
　合いの手は3番まであり、それぞれで組み込まれている表情（エモーション）が大きく異なっています。
・
＜合いの手の中心にある音程＞
　3つの合いの手の音の高さについては決まりが無いようにも聴こえますが、Sound Spectrogramに示されるように、B（シ）音を中心に歌われていることがわかる。これはメインメロディーのキーがE-dur（ミ＝ホ長調）であり、ドミナント解決（Ⅴ⇒Ⅰ・・ただし通奏音はEのまま、E5⇒E・・・パワーコード⇒長3和音）でメインメロディーに引き継ぐような機能を果たすために、B中心で推移するようになっていると推察できる。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜1番スペクトログラム＞　
https://pbs.twimg.com/media/BqmSxUlCIAIO0i4.png:large
合いの手が辿った音程は黄色の細い線でトレース。リズムの刻みは、短い縦白線。歌詞は画面下。
・
　比較的に音程振れ幅が狭く、やや緊張（初対面のような）と慎重さが感じられる。中心Bに対して、高すぎもせず低すぎもしない。
　曲の最初の｢声」であり、適度な緊張感（タメ口ではない、礼儀正しい、活発な）のある、冒頭にふさわしい選択といえる。
・
　推定では、録音テイクは15テイク程度で、そのうちの後半12テイクあたりではないかと考えられる。リズムの正確さ、音程表現の安定、反面リラックスはしていない。
　続くメインメロディーは｢歌」であり、表情が正規化されている。この歌は明るくも暗くも無く、この合いの手のエモーション残像に染まる。（にもかかわらず、合いの手のエモーション印象はなぜか残りにくい）

★歌の表情は最後までほとんど変化しないが、これについては合いの手（screamo）を取り除いたテイクがあるので、参照ください。
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-screamo-less-192kbps
・
★FFTフィルターの楽曲への影響を確認するための、音声のみ鮮明化したトラック：
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-192kbps
・
＜2番スペクトログラム＞　
https://pbs.twimg.com/media/BqmTUQUCEAEVFTL.png:large
　特徴的。中心Bよりも常に低く、また語尾が下がっていることから、失意、脱力、倦怠、などがエモーションとして組み込まれ、暗示される。　また、2度目のwatatata～部分（YUI-METAL嬢）ではリズムも躓いている。　しかし、メインメロディーでは正規化された表情によって、残像というよりも中和されるような機能を果たすようだ。メインメロディーによって合いの手の失意がなぐさめられているかのような錯覚すらある。
テイクはおそらく最初（熟練していない）の数テイクから選択したものと推測。
・
＜3番スペクトログラム＞　
https://pbs.twimg.com/media/BqmTqKBCQAE-HiJ.png:large
音程の振れ幅が大きく、語尾が上昇強調されている。とくにzu-kyun  do-kyun繰り返し部分は一語で上昇と下降があり、心理の高揚を表している。陽気でにこやかで、余裕すら感じるが同時に疲労も伺え、最後に一瞬ため息が聴こえる。一言では飽和、満足、充足、喜びを感じさせる。
　またその後のメインメロディーと重なると、ある種の至福の表現になるようだ。疲労のためか、精密さには欠ける。
テイクはほとんど最後に近いものから選択したと推測。
・
　驚くべきことは、制作者がこれらのテイクを効果的に選択し、それぞれに配置したことだ。現在の常識的な制作スタイルでは、これらの類似する部分はコピー＆ペーストで作成することのほうが一般的。敢えて面倒な異なる表情の配置は、おそらくはそれを意識しながら曲想に従い意図的に行ったものとしか考えられない。
・
　曲全体としては、（挨拶）欲求⇒充足⇒至福　に至る大きなカデンツを心理的に暗示した構造ということができそうである。またリスナーはそのカデンツを無意識下で追体験（共有）するらしい。
　この追体験（共有）が麻薬的中毒性の原因ではないかと筆者は考えている。
　また登場する「声・声由来の成分」が、合いの手のようにリアルな感情を含むもので始まり、メインメロディーのような音程修正による無機的な表現を経て、最後にはより強い音程正規化（あるいはボコーダー的な）で締めくくられる。しかもその最後の声の主が最初の合いの手の主であることもわかるように制作されている。
　最後のより強い音程正規化は笛やラッパのような暗示があり、PVの振り付けもそれを表している。まるで彼らは「ハーメルンの笛吹き」であり、リスナーは列をなし嬉々としてそれについていく村人のような喜び（笑）があるかのような・・。

[注]ただ、この曲は日本語で歌われているが、日本語で聴こうとすると、その（心理的カデンツ）効果が得られにくいという不思議な現象がある。・・（後述）

･･････・・・・・・・・・・・・・・・

　この程度の表現は通常の音楽表現で可能なのではないか、という疑問もありますが、音楽表現の場合はメロディーによる拘束があるために、このような直接的なエモーション表現が困難です。
・
＜日本語人と非日本語人の作用の仕方（あるいは聴こえ方）の違い＞
また、合いの手部分は日本語ではありますが、抽象的（ほとんど無意味な）であるがゆえに、聴く側は（エモーション上の）意味そのものを聞き飛ばすのですが、非日本語圏のリスナーは無意味とは思わないために、その音韻（音程の上がり下がり）から表情を読もうとするようです。

－－－－
＜意識しにくいエモーション表現を探るためのヒント＞
　この解説やスペクトログラムが読みにくいことは至極当然ですが、先ずはこの音源を20～30回程度繰り返し聴き、どんな表情で歌っているか想像をめぐらせてください。
また、下記補足のように、このスペクトログラム書式と書き込みは楽譜としての機能を持たせてあります。楽譜が読める方ならグラフを眺めながら歌うことができます。歌いながら心理をご想像下さい。
・
・
＜実際のライブ演奏での合いの手・・・国内公演例＞
　また、いくつかのライブでの演奏についても確認してみたが、この合いの手は固定された表現ではなく、柔軟に変更されるもののようである。国内のライブでの合いの手の例（スペクトログラム）。
https://pbs.twimg.com/media/BqmUNdeCUAAaC3-.png:large
・
　参照したプロモーションビデオはライブミュージックと銘打ってあるが、ライブなのは動画だけで、音声部分は純然たるスタジオ録音である。
　合いの手部分は、おそらくアナウンスブース（ニュースのアナウンスなどを収録するための、適度な音の反射が作りこまれたあまり広くない部屋）で収録されたもののようです。
・
追記・補足：　07/18
　採用しているスペクトログラムの書式が、音声学的に読み取りづらい・・とのご指摘を受けましたが、ここで採用している書式は、ホルマント（声の特徴を表す倍音分布グラフなどの・・）観察が目的ではなく、音韻の上下動を眺め、音名に対応させることが目的です。　　従って、このグラフを楽譜に見立て、同じように歌唱することが可能で、それを行うことにより歌い手の心理をトレースしようということとご理解下さい。　

　もうひとつのFFTフィルターによって鮮明化してある理由は、これらのスペクトログラム解析・表示を鮮明に行うという目的もあります。
・
・
・
スペクトログラム解析ソフト：
WaveTone　　（あっきー氏作）
学習型FFTフィルターと編集ソフト：
Audacity　ver,2.0.5

この文章とその内容に関する著作権は　y.utsunomiaに帰属します。
他への転載を禁じます。引用や紹介の際には、リンク付けでお願いします。

Gimme Chocolate FFT Filtered SCREAMO ONLY 192Kbps

BABYMETALの楽曲、”Gimme_chocolate”の音楽とサウンド解析付属、合いの手のみを取り除いたバージョン

＊増補：07_10

使用したソースはオフィシャルが公開しているプローモーションビデオ　www.youtube.com/watch?v=WIKqgE4BwAY　を再生、音声信号を録音抽出したものです。

合いの手のみを切り出したバージョン：
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-screamo-only-192kbps

　Vocal成分を強調するために、FFTフィルターによって伴奏パートを抑制してあります。
　合いの手（screamo）を取り除くことで、どれほど楽曲の印象が変化するか確かめるために作成しました。
　非常に平面的で、メインボーカルには豊かな表情は存在しないことが確認できると思います（あくまで原曲や合いの手と比較してのことです）。まるで白いキャンパスのようです。淡い色彩が感じられる程度。
　そのように作られているようです。不動の石像のようです。
　合いの手のリアルさに比べると、モノローグのような印象すらありますが、これは故意にそれを目指して作られたもののようです。歌唱力の問題ではありません。
　
　他への転載を禁じます。

Gimme Chocolate FFT Filtered SCREAMO LESS 192Kbps

　BABYMETALの楽曲、”Gimme_chocolate”の音楽とサウンド解析付属、FFTフィルターにより伴奏部分を抑制し、歌部分を明瞭化したバージョン。
　FFTフィルターによる楽曲への変質を確認するために作成したものです。

使用したソースはオフィシャルが公開しているプローモーションビデオ　www.youtube.com/watch?v=WIKqgE4BwAY　を再生、音声信号を録音抽出したものです。

合いの手のみを切り出したバージョン：
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-screamo-only-192kbps

合いの手のみを取り除いたバージョン：
https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-screamo-less-192kbps

他への転載を禁じます。

Gimme Chocolate FFT Filtered 192kbps

BABYMETALロンドン公演の最後にMOA-METALがメッセージを述べているのですが、何を言っているのかわかりません。とりあえず音声鮮明化してみましたので、後はよろしく・・

ソースは
chrome://mega/content/secure.html#!chhVRZTb!FjhGuTb4hilPUy2GVE2AzGCTzZ1jBNvi2bix8zy_hzk
IDZの末尾です。

Moa's Message

BABYMETALの楽曲、”Gimme_chocolate”の音楽とサウンド解析　付属資料　　マトリクス法による”合いの手”切り出し例

https://soundcloud.com/y-utsunomia/gimme-chocolate-fft-filtered-screamo-only-192kbps　と同じく、この曲の合いの手に含まれるエモーションを聴き取るために、単独化した合いの手。
上記アドレスとの違いは、上記は学習型のFFTフィルターにより伴奏のスペクトルを抑制したもので、この音源トラックはそれとは異なるマトリクス法と相互相関の組み合わせから伴奏部分を抑制したもので、さらに高い分離を得ています。

しかし、いずれの場合も高次のフィルター技術を用いているため、それぞれの方法による固有の音色損失があるため、併用することを前提に公開します。

マトリクス法の例としてSOUNDLAB-2014氏の
https://soundcloud.com/soundlab-2014
がありますが、一部を参考にしています。

音源ソースはトイズファクトリー刊CD ”BABYMETAL" TFCC-86461から抽出しています。なおオフィシャルPVから同様の方法で同レベルの分離はできません。



他への転載を禁じます。引用や紹介の際には、リンク付けでお願いします。

Gimichoco Matrix Screamo Only 192Kbps

＜試聴注意＞　音が激しく歪んでいます　！
Penetrability of SU-METAL vocal on sound stream

[音品位劣化ストリームにおける、SU-METALの歌声の強度と貫通性]

　この音コンテンツはBABYMETALライブコンサート会場（とその録音：ドイツ・ケルン）による音品位劣化に対する強度を、SU-METALとMOA-METALについて比較試聴するためのもので、本題である歌声の強度と劣化耐性についての判断はリスナーに任されます。

　多くのリスナーはSU-METALとMOA-METALの歌声の劣化耐性の違いに驚かれると思いますが、これはMOA-METALが標準的な劣化耐性（と推定）であるのに対して、SU-METALの声の劣化耐性が高いことを確認できるサンプルと言えると思います。
（6秒からSU-METAL、2分30秒からMOA-METAL）

　いくつかのフォーラムでは、この劣化耐性（声の通り）について、ビデオカムが声に対応しているのでよく聴こえる、単に声が大きいなどの意見がありますが、このソースのように曲途中で同条件のもと歌い手が交代しているソースでは、比較対象があるため、たんに録音システムが声を明瞭化しているから、のような理由付けは否定されます。
また他の現場録音（歪んでいない）ものから、単に声が大きい・・も否定されます。
　実際に様々な歌手と仕事していると、声が大きく力任せの発声の場合、とくに女性の歌い手の場合｢耳が痛い」場合も珍しくありませんが、SU-METALの場合はそのような意見はあまり耳にしません。また強引に声を通すような歌唱（叫び、だみ声、下品な発声）も彼女の場合使用されません。
　エモーションに関わる部分では、SU-METALの「自信」は声に含まれ、この通りにも影響していると思われます。国内のいくつかのTV番組収録や、いくつかのライブでは一時的に急速に通りが悪くなっている部分が確認できますが、その部分の動画を確認すると、多くの場合表情が曇っていることから、単に天性の通りのよさだけでなく、自信などのエモーションに後押しされたものであるとも考えられます。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　大音量のライブ会場での演奏各パートは、相互の音エネルギーやスペクトルによって相互にマスクされる（つまり聞分けがしにくくなる）。
またライブ現場での音品位とは無関係に、大音量の環境では汎用の録音システム（ビデオカムを含む）は飽和し歪みや相互に変調、相応の音情報のマスクが生じます。

　楽音や歌声には表現とは別に、固有の「通り」という要素があります。簡単に言えば、騒音やノイズ化した楽音の中でその声をどれくらい識別できるかということで、通りが良いほど劣悪な環境でも劣化が少なく、本来の役目を全うできるかということであり、歌唱の方法以外にその歌い手の天性の要因も大きく影響する。
　その原因は倍音の含まれ方や発声方法などの複雑な組み合わせによって生じるが、ここでは会場、曲、マイクを含む音響システム、立ち位置などの同一性が確保された条件で、2名の歌手（SU-METALとMOA-METAL）の声の通りを比較できるソースが入手できたので、それをサンプルにヒアリングによる確認を行ってみたい。

　ソースは2014年7月3日、BABYMETALドイツ公演会場で行われた、汎用のビデオカムによる録画録音　"[RAW VIDEO] BABYMETAL - Headbanger!! - Cologne, Germany 2014 Live Music Hall.mp4"としてYoutube上で公開されていた音声を録音したものです。
　このソースはドイツ公演が行われた直後すぐに公開されたものですが、現在このソースはアップロード者によって削除されているようです。
　このソースは録音品位の解析により、録音ソースそのものではなく、6KHz以上の成分が録音後に強化・補正されたものであることが判明しています。

　また会場内の音そのものは大音量ではあるものの、目だった歪みや変調は確認されない品位で、現在公開されている動画によってもそのことは確認（ただし、大音量に対応した録音セットを使用したものに限る）できます。
　このソースは激しく歪んでいますが、その原因のほとんどは、ビデオカム内臓のマイクロフォンそのものの歪み、ビデオカムの内部回路（マイクアンプ回路、オートレベル回路）に起因するものが大半のようで、会場そのもの音品位とは直接には関係ありません。

++++++++++++++++++++++++++++++

追記：07_26　21’00
　よく聴くと、SU-METAL部分とMOA-METAL部分で、高域の補正量（イコライゼーション）が変えられていますね。MOA-METAL部分ではより補正が増えています・・。
　またMOA-METALは最大発声に近いですが、SU-METALはかなり余裕のようです。
　合わせて、良好な録音の動画も参照下さい。

Penetrability Of SU - METAL_Vocal On Sound Stream

ギミチョコ、オリジナルライブの秘密 その2

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

以下に注意してお聴き下さい！

1、2、3番はそれぞれ4小節×4で構成され（ていると仮定）、16小節で1群（番）、1番と2番の終わりには効果音SE「ブーブー」が挿入されています。

サンプルは、NHK Music Japanからのサンプル、米MTV レイトショーからのサンプルの順です。

1番と2番が歌（声）の表情として（3番に対して）平坦であること、
3番とそれ以外では距離感や音鮮度が異なっていること、
3番とそれ以外ではブレス（息の吸い込み音）が異なっていること、
3番とそれ以外では歌音程のとり方が異なっていること。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

サンプルを試聴し、上記に思い当たる方のみ、以下を読み進めてください。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


BABYMETAL楽曲"ギミチョコ"のライブにはいくつかのバージョンがありますが、プロモーションビデオの元となった2013年12月幕張メッセでのライブでの公開に端を発し、その後の欧州ツアーなどでの演奏では、より生演奏の比率を高めたスタイルとなっていました。
ライブバンドとしても面目躍如といったところですが、「ライブミュージック」と題されたプロモーションビデオとはニュアンスが異なっている、ギミチョコ問題があることはすでに指摘しています。
ところが2016年になり、米国MTVレイトショー、NHK MusicJapanでの番組中で流されたスタジオライブでは、オリジナル幕張メッセでのスタイルとPVの中間のようなスタイルに変更され、あらたにこの曲の構造上の特徴について論じる必要が生じたため、このサンプル音と解説をアップロードします。
このスタジオライブについてのみ扱い、フェスやワンマンライブなどのバージョンについて言及しないのは、そのリスナーにおいて桁違いであり、制作側がより重視していると考えられるためです。

私がSNSでつぶやいた内容は、この曲の歌の1番2番は録音物（あるいはそれに相当する）の可能性があり、3番のみ生の歌が挿入されるかもしれないというもので、この点についてファンの皆様から大きな反響がありました。

改めてこの曲の特徴的なポイントについて触れますが、この楽曲の歌（3番まである）の寸前までYUI-METALとMOA-METALの二人による「アタタ・・、ワタタ・・」の合いの手が入り、そこに含まれるエモーションによってSU-METALの歌に色彩豊かなエモーションが付加されており、このようなエモーションの提示の方法は過去にあまり例が無い、、という内容です。例が無いだけではなく現代の飽和状態（何らかの理由で、歌にエモーションを組み込んでも、それがリスナーに受容されにくくなっている）の音楽世界において、それを打ち破る（エモーションなどの音楽的魅力によって音楽の価値プライオリティーが復権できるかも）可能性があることを示唆したものです。

リスナーの皆様からの御指摘の一部は、これらのスタジオライブ、歌の1番と2番、表情に大きな違いがあり、もちろん生で歌唱している、、というものですが、サンプルにあるように「合いの手」を外し、歌のみになるように編集してみると、1番と2番の違いはきわめて小さいことが理解できると思います。
それと比べると3番（3番は明らかに生歌唱していると思われます）は非常に表情豊かであり、また音程スケールも彼女特有の音律を聴くことができます。
ライブ音響的にはいずれの会場でも、3番のみ音が近くコンプレッサー（ダイナミックレンジを圧縮する）の作動状態（背景のドラムスに反応している）も手に取るようにわかり、リアルです。
またブレスも深く正確に聴き取れます。（彼女のこの曲での歌唱では必ず4小節毎にブレスが入ります。＊＊ 会場内の音響システムのコンディションは3番の状態に正しく反映していると考えるべきでしょう。＊＊

ところが、1番と2番ではそのようなコンプレッサーの動作は見られず、ブレスもほとんど聞き取れません。最も大きな違いは歌唱の音律スケールで、1番2番は明示的に平均律になっています。
1番2番はこのことから（それ以前に声トーンや距離感が3番とは異なっている）、コーラスを含んでいるのですが、そのコーラスに埋没する程度のバランス（1番2番は生歌がミックスされていたとしても生歌唱主体とは言えないし、生の効力が無い・・おそらく故意にそのような曲仕様になっているものと・・）と考えられます。


なぜそのような曲仕様になっているのか、類似の生理現象（視覚）で説明を試みます。
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/robot.jpg

錯覚の現象説明でよく用いられるグラフィックですが、2つの円の色、左は薄く右は濃く見えます。これと同様にギミチョコ合いの手が背景の明度や色彩、円がSU-METALの歌に置き換えて考えてみてください。
合いの手があるときには音程平均律化された、比較的平坦な1番と2番の表情は、歌の前に入る合いの手のエモーションや表情によって影響を受け、リスナーの脳はそのニュアンスを歌部分でも引きずり錯覚（錯聴）を起こしてしまうのです。

このグラフィックスの場合も、円部分のみに切り出して確認をしてみれば、2つの円は同一の明度・色彩であることが確認できます。同様に、ここで示したように、歌のみにして確認すれば、そのことが理解できるかもしれません。（注、万人が先入観や合いの手バイアスを解除できるわけではないと思いますが・・）

私の推論では、3番の歌の直前までが長大なイントロで、そこまでで3番を聴く準備をリスナーに施し（リスナーは3番も同じように・・と錯覚している）、そこで表情豊かな3番生歌を提示する（つまり、音程やレベル、ブレスなどを正規化した同じようなものが来る準備をさせておいて、、、脳関門を開いておき、、生の表情を注入する・・）という戦略なのかもしれません。PVには存在しない仕掛けです。

サンプルの作成方法
TV番組、公開されている動画再生中にそれぞれを録音し、必要部分のみを波形編集ソフトで切り出し、歌部分のみを接続再構成しました。聴覚や心理に影響を及ぼすかもしれない一切の加工処理を行っていません。レベルとレベル分布もリアルサイズです。冒頭のみフェードインを付加してあります。


y.utsunomia

Popular tracks