仮病なぼくら

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素肌にカシミヤ　人の殺し方
右と左がわからないから
三面鏡は閉じて眠る
まつげがぐらぐら　人の愛し方
何もかもが気休めでも
安全バーは下げてねむる

厚いめがね、光る、かわいいね
せっかくだけどいらないわ、ありがとう
あの紙幣を壁に貼りつけて
せっかくだけどいらないわ、ありがとう

赤と白のキリン　月に帰ること
どうぶつがたくさんいるけどみんな怒っている

燃えさかる、街に、背を向けて
水ふうせんの羽で飛んでいく
爪の隙間から粘土のにおい
君は場所を愛せないだめなひと

タバスコのメモ

指をなめて、眠りをやめて
どんな顔して天国へ行こうか
ねえ、隠しきれないほどの嘘
抱え込んでしまった
木漏れ日を通過して
煙は白いドレスみたいだった
こんな仮病な今日を
もう、こんな生活をやめにするために

何をしてるの、なんて
口が裂けても言えないや
すりガラス越しにでも
嘘はつけないよ

ドアがパタンと閉じられて
平日はいつもひとりぼっち
でも、二人でも三人でも
あんまり変わりはしないのさ

何を見てるの、なんて
はなから興味なんてないのさ
奪った強さを食べて生きる
俺は鬼畜だぜ

平日

僕のきちがい記念日は今日でした
これが大人になるってことなら
君らは中学生のころから
ずいぶん大人びていたね
踏みつけられたぶんだけ
しかえしをしても
天罰がくだるのは僕の方だとわかってた
だって僕は万引き犯で
反省文も書かない悪い子なんだから
「くちびるが、切れてるね。どうしたの」
って、こたえられないや
喧嘩でまけたのはとても
恥ずかしいことだから
ばんそうこうだけ、ちょうだい



多くを語らないおじいちゃんが死んだ日
僕は自分のスーツが似合ってるか
心配だったよ
部活に入った方がよかったかな
僕の部屋が崩れたとき
ひっかき傷をみんなに見せたかった
ごめんね
こんなぐちゃぐちゃな計画を立てて

きちがい記念日

汐千博