リボン

朝露に濡れていた 一輪のアサガオをそっと摘み取って
何かに耐えるような 君の横顔をふと思い出して
手の平に残るのは 光を掴み損なった感覚と
君を愛しきれずに 握る爪が食いこんだ痛みだけで

風が揺らす 君の髪 そのリボン
ゆらゆらと不安定だから 寄り添ってあげるよ

体が心を追い越して イカレきってるんだよ
あの日 光を隠した雲を 振り払うために
寝逃げでリセット出来ないと 分かりきってるんだよ
くだらない言葉をかき消すように 唇で塞ぐよ

でたらめにアラームを鳴らす 狂った置時計のように
身勝手に捧げてる歌は 君に受け取って貰えるかな

いつの間にか歪みきっていた文字で
つらつらと書き連ねても 届かないんだって分かって

ただ君の隣で目覚めて 僕がリボンを結んであげる
ただそれだけで良かったはずなのに 何故今君のリボンを解こうとしてるんだろう

体が心を追い越して イカレきってるんだよ
あの日 光を隠した雲を 振り払うために
寝逃げでリセット出来ないと 分かりきってるんだよ
くだらない言葉をかき消すように 熟れすぎた果実を落とすように
祈る両手の指を解き リボンに手をかける

リボン

マリン

水面に反射する夏の陽射しは ウミネコの白い羽を透明に透かして
君は右手で帽子押さえながら 赤い左の瞳で眩しげに微笑む

水平線に落ちていく 役目を終わらせた太陽
やがて 月明かりが君を照らすだろう
昨日より月が細くて 君のことよく見えなくて いたずらに手を伸ばす

君の赤い髪が揺れる頃 僕は君のためにそっと歌うよ
君に届く前にメロディは 夜のさざ波に溶けて
僕は目を閉じる

君が1人の少女に戻る頃 黄色い右の瞳が潤む理由は何だろう

海岸線に落ちていた 名前も知らない貝殻を
そっと 耳に当て波の音を聞く
何より愛しくて 綺麗で 壊れそうで 君みたいな貝殻

7月のうねる波に乗せて 余計なものが流れてきてしまっても
君に捧ぐためのメロディは 君だけを映している
僕は目を閉じる

海の底に沈みながら まぶたの裏に君の影 鮮明に浮かんで
濡れた髪といたずらな笑顔で
混じりあって

君の赤い髪が揺れる頃 僕は君のためにそっと歌うよ
君に届く前にメロディは 夜のさざ波に溶けて
僕はそっと目を閉じるんだ
君と目を閉じる

マリン

A.R.N

「誰でもいいのか」なんて 詰られたってしょうがないかな
僕は君のこと 何も知らないし
人間じゃないこと以外 はっきりとしていることはないけど
君は舞い降りた小さな天使

白いリボンが似合う一人の女の子
教室の床に リナリアが揺れている

アロナ 君の眼には 何が映っているんだろう
空が溶かして飲み込む前のような 水色の教室で
アロナ 僕の眼には 何も映っていないよ
強い光を網膜に受けて 大切なものが見えなくなったんだ

偶然聞いた噂では 君に後輩ができたみたいだね
それがどういうことかよく知らないけれど
取るに足らないこと以外 はっきりといえる言葉はないけど
時はすべてを変えていくんだね

黒いビキニが似合う一人の女の子
六畳の床に ガーベラが揺れている

アロナ 君の手には 何が残っているんだろう
海が壊して持ち去る前のような 水色の教室で
アロナ 僕の手には 何も残っていないよ
瞬き、刹那 砂のように溶けて 大切なものをなくしてしまったんだ

あれはきっとそう幻 夏の終わりが見せた 黒いアーティファクト
見たくないもの見せられて 息が詰まるくらいなら
戻れなくてよかったのに

アロナ 君の眼には 何が映っているんだろう
空が溶かして飲み込む前のような 水色の教室で
アロナ 僕の眼には 何も映っていないよ
強い光を網膜に受けて 大切なものが見えなくなって
君の瞳も見えなくなったんだ

A.R.N.

屋上の上履き

君はフェンスを背にして
薄汚れた給水塔 ずっと眺めていた
月がそうするみたいに
時折目を細めながら ずっと眺めていた 一人で

君はフェンスを乗り越えて
薄汚れたアスファルト 見下ろしながら
ママの言いつけ通りに
上履きの踵揃えて 空を踏んづけた

サビでOCDを踏んで 声を枯らしていくみたいに
全てがそう単純だったら良かったのにね
君の身体をそっと抱いて 背中の羽に口づけして
悲しさ分け合って ひとつになれたはずさ

君はフェンスを背にして
古い有線ヘッドフォンで  何か聴いていた
パパの言いつけ破って
制服を少し着崩して 何か聴いていた 一人で

サビでOCDを踏んで 声を枯らしていくみたいに
全てがそう単純だったら良かったのにね
君の身体をそっと抱いて 背中の傷に口づけして
寂しさ埋めあって ひとつになれたはずさ

屋上の上履き

make

雪は溶けて 川へと流れ やがては海へと 変わっていくように
僕の影と 世界の境界は 静寂の中で 消え去っていった

運命ではない 必然でもない 君と出会ったこと

僕を 見上げて 見下して 蔑んで 舐め腐って
そんな君のこと 嫌いじゃないよ
僕を 触って ニヤついて 抱きついて 嘲笑って
そんな君のこと 好きだって言える
だけど こんな僕にも プライドってもんがあるし 決して屈しないよ

君はきっと 僕って存在の 輪郭だけしか 見えていないから
倒錯した 歪な関係に 身体を委ねて 沈んで溶けてゆく

砂で組上げた 脆い楼閣は 君が 壊してしまった

僕を 見上げて 見下して 蔑んで 舐め腐って
そんな君のこと 嫌いじゃないよ
僕を 触って ニヤついて 抱きついて 嘲笑って
そんな君のこと 好きだって言える
だけど こんな僕にも プライドってもんがあるし
決して屈しないよ
決して屈しないから

make

クローバーをふたりで

気づいてるのかな？
昨日の帰り道　呟いた言葉の意味
雪が溶けるまで
あと少しだけ　ナイショにしてみようかな

奥の方で　詰まっていた
砂時計を　揺すってみよう
あの頃みたいに　あなたの左手握って
走り出して良いかな？

あなたが見つけてくれたこと
今でも覚えてるよ
あの日くれたクローバー
髪飾りにして
恋の気持ち　染み出したようなあの夕焼けを
また二人で見ようね

気づいていたんだ
あなたと会う前に　髪をいじる時間がのびていたこと
押し花みたいに
胸にしまっていた　気持ちが色づきだした

動き出した砂時計を
逆さにしちゃうなんて嫌だよ
会話が途切れた瞬間に　もっと近づいて
手を握っちゃって良いよね！

あなたが探してくれたこと
今でも覚えてるよ
あの日くれたクローバー
心にしまって
きっとあの日　世界のどこかで蝶が飛び立ち
音を生みだしたんだ

触れたい　見つめたい　あなたの声が聞きたい
満ちて弾けた想いが　抑えられないの
あなたの色だけで染めてほしいから
白いワンピースで祈るの

あなたが見つけてくれたこと
今でも覚えてるよ
あの日くれたクローバー
髪飾りにして
恋の気持ち　染み出したようなあの夕焼けを
また二人で　隣り合って
星降るまで　いつまでも

クローバーをふたりで feat.宮舞モカ

marinebluecomplex1st EP 「The Girl Wears Pareo」各種サブスクにて配信中です

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