ねえ、後悔はなれそめの甘い肉離れを
ねえ、戸惑ったふりをしていたらいいんでしょう？

人飼いは鍋を洗いながら、寄り添えず「あわれ」と泣きじゃくる
そんな朝があった、と

あのとき、手放した 手遅れだ
さかさまを隠して
あとさきがくれた 手をふっては
カタカナをまぶして

言い訳はすんだか

ねえ、空の底あおぐには乾いてしまったかな
ねえ、誰彼も不安だと君が望むこともないのなら

雨ははしゃぎなれて
帰り道、地団駄踏み踊る
そこに嘘があった、と

あのとき、いてくれた物語は
呪文をかくして
あとさきがくれた 手をふっては
さかさまを隠して

あのとき、手がふれた 手遅れだ
愚かさをを隠して
あとさきがくれた 手をふっては
さよならを隠して

あとさき

倒れたまだかりそめの街は明るく光がよじれる
アスファルトのひびに鼻歌も混じり、聞こえたあなたのさようなら

ベランダからひびいた音
赤子の揺する手をにじんだまなこで
見惚れたあの日々は戻りはしないのだ
消えたら帰れないあの場所に

見える赤い星 丸めた背中で自転車こいだら忘れてた

つぶれたまなこに残した景色とあなたのにおいを覚えてる
消える赤い星まぎれてちぎれた 花束ささげた晴れた日に

くぐもり

あからさまな嘘をならべたてていたら
夜がついてきて辺りは終わる
遠くの街もあなたの声も聞こえていたのに

おぼえておくために記録に残してた
最善を尽くすと記した未来は
あっけなく壊れていたよ ふちどりすら残さずに
あまりにわざとらしく祈り囲まれて
願うことすら取り上げて殺した
いまさら変われないまま 春を避けてかくれる

来年のまたゆく年くる年や
あの子がもう見ることがない景色がひたすらに黄ばみ始めて
僕ではもう落とせない
呼吸の仕方も忘れて疎まれる
三回かけたら通じた魔法は今でもまだかかったまんまだ
あのとき話していた

あからさまな嘘はもうわからなくなった
夜が溶け出して世界が終わる
遠くの街もあなたの声もうす明りのなかで

うす明かりの中で

なにも悪いことじゃないさ たどり着くまでのことだから
あなたは不意に悲しい顔して隠して笑う笑う

雨が強すぎて湿気る部屋の中のぼくは
嘘をついた嘘をついた取りかえせもせずに

なにも怖いことはないさ 雨がやむまでのことだから
あなたは不意にさみしい顔して隠して笑う笑う

がが

夢は尻すぼむだけの 傘に混ざり込んだ光
もらったはずの手紙には あなたからの文字列

転がる手の中の夕暮れ 朝に抱いたわずかな乾いた声に怯えて
ベランダからは旅立つ

重ねた言葉を忘れて 息をひそめて歩いた
もらったはずの手紙には あなたなりの文字列

重なりあってころげられたら、ぼくらはずいぶん歳をとってた
嘲笑ることもさ 生きのばすための真面目なふりだけうまくなった
添えられた花は開いて むずがりながらかける魔法
いさかうことにもいつかは疲れて 夏が四角くなる晴れた日に

醒めた頭を抱えて 喉を蛇口でひたした
もらったはずの手紙には あなたなりの文字列

とめどもないって思えたころには、ぼくらはずいぶん歳をとってた
浮ついたことのひとつも言えない 揺れることすらあきらめた身体と
朝の光が好きだった いつもと変わらないの、この部屋
生煮えのままで生きていくことも さして悪くはないと言えるかな

重なりってころげられたら、ぼくらはずいぶん歳をとってた
嘲笑ることもさ 生きのばすための真面目なふりだけうまくなった
添えられた花は乾いて むずがりながらかける魔法
いさかうことにもいつかは疲れて 夏が四角くなる晴れた日に

花を添えて

君が吐いた吐瀉物に草が生えて花をまとい
そこらを通る誰かに向けて優しげに微笑みかける
そんな、愚にもつかないことを道々で話しながら
歩いたところでどこにもつかぬと愚痴るふりをしつづけながら

昨日の無益は如何にもきつくて ねじれた心をねぎらいながら
三歩進んで二歩は戻らずにあからさまに日々は続いていく
「なんとも希薄な生活だよ」と浮かべる笑顔に力はなくて
一切合切捨てたところで逃げるさきなど思いつかずに

すでにすべては遅すぎて神様の手すら届かぬところ
そんな軽口言ってしまってあとからどうせ後悔するし
のぼせ上がっていてはなくて日々はなにやら続いてしまう
かつてはここにあったはずが小さく消えて今は見えない

結局、君の胡乱な悪意は誰かに向かわず自分に返り
酒をやりつつさみしそうに行き先不安をたまにこぼした
手と手を合わせてみたところで君の気持ちは僕には見えず
「やっぱり人はひとりなの」と詮無き言葉で話を終える

ゲロ

雨が降って、誰もいなくて街から帰る日
記憶を消してくれ、もはやいらないから
君がいなくて寂しくなって、泣いてたことだって
あの日は晴れてたっけ？ 答えにならないから

いさかう声がした ひらかれた光景で
わかったふりをして ただ意味を並べてた
そりゃ誰かが笑うさ 悲しくなくたって
たてちとたてちと

小さくなって笑ってたって君がいなくたって
揺れてる言葉だって、頼りにならないから
あのときなんであそこに立って何を見ていたっけ？
いまさら歌うなんて、魚に牙を見せた

ずれてるふりをした 苛立ちにまかせて
それでも君がいた あの頃を並べてた
また誰かが笑うさ みじめなやつだって
たてちとたてちと

のたう

夢のがらはみことに蒔いた
あの手紙はどこにしまったかわからず

ひとりかかえてる あの歌を探しているが
生まれたがる光たちが騒いでいる

今はまだ雨のあがりだ
アスファルトに埋められた声が

ラスト叶え、空に記憶を晒しているが
忘れたがるあの光を探してる
波がかる空、記憶はないものならば
君の中であらがいては埋めていく

ラスト2分が世界に絡まるひびは
僕の中で君のことと思っている
かなたに抱えては にわかにかざした愛も
君の中で、僕の前で溶かしている

あぐね

2020.11月下旬頃発売予定
糞八の初めての音源から2曲。

「薄明りの中で」
1. neonbutcherytallnoise
2. いきものだらけ
3. ゲロ
4. うすあかりの中で

うすあかりの中で

Shobadai Haraeya!!! https://twitter.com/kusohachi1

糞八 || kusohachi

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