仮の巣を　飛び立って　今　飛び立って
険しい山　こえてって　川の瀬に
いこか　戻ろか　つぶらな翼を閉じて
一人寝は寂しかろ　ああ　冷たかろ

あの地　あの国　遠い遠い空の　あの時を
ともに過ごした親等は草葉の陰に
離れ離れになって久しい同胞の
幼い顔が浮かんでは消え　脳裏にまた浮かんでく

明け方に川の上　いく　空の上
集まる仲間たち　いたいけに
冷えた思いも　さしだす翼に溶けて
いこえよ　紅雀　飛べ　紅雀

離れ離れになって久しい同胞は
太い翼とするどい嘴そなえ
でもその瞳には昔日の面影が
確かに今も浮かんでは消え
確かに今も浮かんでく

やっと一緒に生きていけると喜びを
分かち合いつつ朝の日の光浴びて
川のせせらぎ　水浴びを　ほら　済ませたら
遠い空へと飛んでいけ　遠い空へと飛んでいけ

紅雀 (long version)

七月になったばかりの町は
人もまばらで　気だるさ満ちる
扇風機まわるこの部屋のなかは
梅雨の名残で湿ったままよ

ねえ　貴方に　電話して　話したいの

私を海へつれてって
水着にはならないけど
奪い去るようにつれてって
一人では寂しいから
波打ち際で　私を抱きしめて
一生忘れられないキスをあげるわ

車止めた駐車場から飛び出して
遠くに見える海へと急ぐの
夏休み始まる前の海辺は
海の家もまだ閉まったままで

ねえ　私を　抱きしめて　離さないで

私を海へつれてって
灯台のライトのなか
奪い去るようにつれてって
哀しみは置いていくの
砂の舞う浜　潮のかおりと
貴方の姿が夕闇に溶ける

Dreamin' 今宵二人で過ごす
Dreamin' 宿のほうまで
Dreamin’ 手と手繋いで歩く

私を海へつれてって
水着にはならないけど
奪い去るようにつれてって
一人では寂しいから
波打ち際で　私を抱きしめて
一生忘れられないキスをあげるわ

つれてって

意地悪なのね　私をからかう
貴方は今日も　いつもと同じ

そんな私たち　このままで　ずっといたいけど

桜咲く頃は　別れの季節よ
名残惜しいけど　時が来たの
二人はこれから　離れていくの

寂しさみせず　にっこり笑って
貴方をみたの　私きれいでしょ

きっと　私たち　いつかまた
逢える日が来るわ

桜散るように　離れていきます
それぞれの春なの　春もうらら
桜咲く道を　私は行くの

春うらら

記憶の隙間から　陽射しが降り注ぎ
木立がかき揺れて　今年も冬がくる　冬がくる

通りの向こう側　薄手のセーターと
コーデュロイを身に纏い　君が歩み去った　冬がくる

今　君はどこにいて　今　何をしてるだろう

もしも　時が戻るなら　手放さないけど
別れ告げた　あの頃には戻れない

白い雲が重なり　陽射しが遮られ
静けさ訪れて　今年も雪が降る　雪が降る

踏切の向こう側　遮断機の向こう側
色とりどりの傘　いっせいに花開く　雪が降る

今　君はどこにいて　今　何をしてるだろう

手と手　握り返した　その瞬間に
愛告げた　あの頃には戻れない

僕は　忘れないから　僕は　祈るから
君は　誰かと　とこしえに　倖せに

街に　降りつもる　雪よ

降りつもる

だらだら　つれづれ　何年も過ごしてる
そして　今日も　二人　会ってる

仕事終わったら　なんとなくメールして
そして　今夜も　かわしあってる

実家の親にも紹介をしたけれど
微妙な反応

今日も　向かいあってる
明日も　二人　会ってる
ずっと　今の関係　続けていくのか

抱き合ってみたって　愛がなければつまんないや
お茶をして　だべって過ごすくらいがちょうどいい

笑い合ってみたって　愛想笑いじゃくだらないや
付き合っていたって　心あらずじゃしょうがない

ヒマして　だれてて　何時間も二人で
そして　無為に　今日も会ってる

アフターファイブに　なんとなく電話して
そして　今夜も　また会ってる

実家の親から連絡は来るけれど
話題にのぼらぬ

今日も　向かいあってる
明日も　二人　会ってる
ずっと　今の関係　続いていくのか

語り合ってみたって　夢がなければつまんないや
夕飯とビールを　くらうくらいがちょうどいい

キスをしてみたって　上の空ならアホらしいや
デートしていたって　未来なければしょうがない

抱き合ってみたって　愛がなければつまんないや
お茶をして　だべって過ごすくらいがちょうどいい

笑い合ってみたって　愛想笑いじゃくだらないや
付き合っていたって　心あらずじゃしょうがない

ないないない

いぬ　ぼくはいぬ
あなたをずっと
小屋のなかから
みつめているよ

いぬ　ぼくはいぬ
こいぬの頃に
あなたの親に
買われたの

あなたは子ども
私もこいぬ
ふたりでいつも
散歩した

いる　ぼくはいる
あなたといっしょ
春　夏　秋も
冬の日も

いぬ　ぼくはいぬ
あなたとともに
年を重ねて
ここまできたよ

いぬ　ぼくはいぬ
あなたの帰る
時間がだんだん
遅くなる

おとなになった
あなたのことを
いつまでぼくは
みれるだろう

いる　ぼくはいる
だからそんなに
悲しまないで
そばにいるから
ぼくはいる

ぼくはいぬ

ぼくはいぬ

安普請の　壁の向こうに
吹き続く風　どうどう　どうどう

50Wの　蛍光灯が
ぐらぐら揺れた　どうどう　どうどう

通りを走り抜ける　人と人とのざわめきを
河のように押し流す　お前はまるで

どうどう　どうどう　どうどう

きしみたててる　トタンの屋根に
打ちつける雨　ざあざあ　ざあざあ

雨樋のなか　落ち葉とともに
流れ落ちてく　ざあざあ　ざあざあ

通りを埋め尽くす　古い植木も自転車も
暗い空に舞い上げろ　お前はまるで

ざあざあ　ざあざあ　ざあざあ

破れた空　静かな街
吹き続く風　ひゅうひゅう　ひゅうひゅう

通りを走り抜ける　人と人とのざわめきが
また溢れかえりだすまで　お前はまるで

ひゅうひゅう　ひゅうひゅう　ひゅうひゅう　ひゅうひゅう

暴風雨

雨音かき消す　六月のラジオ
貴方の心を探すの

水たまり飛び越していく
貴方の姿　いつも儚げ
貴方が言ってくれた言葉も
雨と一緒に消えていきそう

雨音かき消す　六月のラジオ
貴方の心を探すの

貴方が捨ててしまった町を
ずっと忘れずにいてほしいの
いつでも側に駆けていくから
もう一度あの笑顔を見せて

雨さえ止んだら貴方と一緒に
綺麗な虹を渡るの

六月のラジオ

六月のラジオ

雲の間に　顔を出す　
陽射しが出ては　また雲隠れ

校舎の窓に　乗り出して
首を出して　空　仰ぎ見る

息を　吸い込んで
目を開いて　見つめた

空へ空へと浮かんでく　
気分爽快　オーライ　どうだい　僕と
翼広げた鳥のように
気宇壮大　オーライ　どうだい　君も

ジェット機に乗り　旅に出る
いつか訪ねた　あの空港で
預けられてく　トランクを
憧れと　妬みを持ち見てた

いつか　いつの日か
僕も空へ　飛びたい

滑走路から浮かんでく
捲土重来　オーライ　どうだい　僕と
はるか離れた異国へと
遠い将来　オーライ　どうだい　君も

空へ空へと浮かんでく
気分爽快　オーライ　どうだい　僕と
翼広げた鳥のように
気宇壮大　オーライ　どうだい　君も

空中浮遊

だめ　今はだめ
だめ　ちょっとだめ
だめ　ほんとだめ
だめ　てんでだめ
もうだめ

どうだい　どうせ僕はこんなもんだい
知ったかぶりした結果がこうだい
それでもだめなときはどうすんの？

だめ　きっとだめ
だめ　とうにだめ
だめ　ずっとだめ
だめ　永遠にだめ
もうだめ

失うもの　もう何にもないんだい
起死回生狙って山を張ったい
それでもだめなときはどうすんの？

だめ　今はだめ
だめ　ちょっとだめ
だめ　ほんとだめ
だめだめ　でくのぼう
もうだめ

だめ

だめ

I compose music and write novels as a hobby. 🏳️‍⚧️

紅雀 (long version)

大森 弥希

大森弥希