朝起きて隣を見ると君が死んでいた。
君は昨日の夜と同じような寝顔で、ひょっとしたら何事もなかったかのようにおはようと言ってくれる気さえした。

もう何も話さなくなった君はとても綺麗で、ぼくは君のことが好きだったんだと改めて気がついた。
それでもぼくは捕まりたくなかったので、君の体をキャリーバッグに詰め込んで遠くの街へ捨てようと考えた。
君の細い体を折り曲げながら、こんなことにすら何も感じなかったぼくは、人間性をどこに落として来たんだろうと、思った。


キャリーバックに君を詰め込んで
定期列車には誰もいなくて
人間を落第したぼくと人間ではなくなった君と

君がそこにいりゃ生きていられた
人でなしのぼくも
それでも神様はこんな幸せを許しはしなかったんだ

冬の空を舞う
光る銀の羽根が
辿る日々のすべてに
ぼくらを隠してまた揺らいだ
列車はただ街を過ぎてく

胸に残る痣
あの日触れた場所
指を曲げる癖
好きな花の色
星を見た団地
君の笑う顔
思い出せないんだ

そしてぼくらは真白の空に
影を描いて落ちていった

キャリーバッグに君を詰め込んで

Noisemaidサン