「黒バラは炭治郎マスクの様にして配置します。正面と横方から私が配置するのをよく見ておいてください。」
清田育宏(キヨタイクヒロ)はNintendo Switch Online初日ということで張り切っていたが、いきなり出鼻を挫かれてしまった。
　最前列で堂々と花を蹴散らしている動物がいて注意をしようとしたがそれ以上に目を引く動物がいた。案内所の窓際に座るたぬきは左で頬杖をつき徐に広場で行われている裸の犬の生演奏に夢中になっている。また、右手で100ベルをコインロールさせ足を組んで左足のみで空気椅子をしている。
「えーとたぬきちさん、君はそんなに私のプレイングが退屈かね？」
たぬきちはこちらを一切見ずに答えた。
「あなたのプレイングは退屈ですよ。バラの配置なんて何でいろんな角度から見る必要があるんですか。」
　清田は獣相手に怒りを覚えてしまったことを非常に情けなく思った。個性を重んじるプレイング、一人一人が獣らしさを発揮できるようなプロゲーマーになりたいという自信のプレイヤーとしての野望は、実は薄っぺらい理想のような気がしてしまった。しかし、まだプロゲーマーの卵であるので態度に出さないようにすれば、後にこの様な動物に対しても本気でそれが個性であると思えるようになれば、私はまだプレイヤーとしてあり続けられるだろう、そのように考えなるべく優しく諭すように言った。
「そんなに気になるのなら重力のくびきからでも抜け出して参加してきなさい。」
少し嫌味を含んだ言い方になってしまったことを後ろめたく思う暇もなく、たぬきちは動いた。
「ありがとうございまーす。」
その瞬間、本当に重力のくびきから抜け出してしまった。
何が起きたのか理解できず、慌てて地球の外を見た。時が止まったかのような静けさに違和感を感じたが、中指を突き立て元気に四足方向する様子に全てがどうでもよくなった。
「それでは正面から私が黒バラを配置するのをよく見ておいてください。」自身の内なる修羅が呼び起こされているのを感じながら、どこぞのお笑い芸人のように、どう猛なライオンのように、そして地獄の番人のような形相で勢いよくスコップを構えた。
「黒バラ配置は炭治郎マスク!!」

黒バラ配置は炭治郎マスク

悠仁様と繋がりたい
https://youtube.com/@tenes_xs?si=3gUUew3hmNPWkKU7

黒バラ配置は炭治郎マスク

XS(てねす)