渚にて

波は寄せて君の足跡攫っていった

少しくらい残してくれたっていいのに

君はビーチサンダルを片手にぶら下げて

少しだけ澄ましたような顔をして

君とねふたりで過ごした時のこと

夢に見て泣いてしまうんだろう

あくびが出そうでも退屈なわけじゃないよ

今ならずっと眠り続けてもいい

すれ違った老夫婦とそのヨークシャテリア

振り向いてウィンクしていたのは内緒

今さら気づいた戻らない幸せは

溶けていく最高気温の渚にて

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