夜を抜けて

夜を抜けて

ひつじ

いつもの悪い癖で
何度も書いては消した指先が
あと何センチ先に届いたなら
良かっただろう

「生きることは間違うこと」
そんなわかりきった慰めの言葉
重い十字架と長い償いの
助けにもならない

ひどく胸の痛む夜を
騙し騙しやり過ごしていく
明日に躓いても 傷ついても
命は続くから

季節は淡々と流れても
来た道はずっとでこぼこ
ずいぶん先を歩く人を見ては
足を止める

「周回遅れでもいい」と
励ます声を信じて裏切られて
期待に沿えない…

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