歌詞：
ぼうっとしている錆びたナイフは、臆病な眼差し
遠く消える赤いランプを、こうして見つめている

若い僕らは、海の向こう夢見て、気高き胎児さ、そして侵略者

始まらない未来に臆病な眼差しを
終わらない罪の意識に冷たい水を
少年ふたりのせいで全ては3Dになる

若い僕らは、海の向こう夢見て、気高き胎児さそして、反逆者

始まらない未来に緑色の言葉を

月となって、むき出しの拒否反応で、地球儀を外した

なぜ美しい・君の歯が抜け落ちてゆく夢が

概要：
とんでもないナルシストが作ったんだなと思わせる。私はこれまで意識的に「君」とか「愛」とかの歌詞を避け、あくまであやふやな言語の羅列で歌詞を作るように、つまりラブソングを作らないように尽力してきたが、実際対外的性格を持っているラブソング、ひいては誰かに呼びかける詞よりも、「ディープな自分の世界」を開陳するような詞のほうがよほどこれは自己愛性が強いんですね。
この時期は練習をさぼり過ぎて、ギターが思うように弾けなくなり、両サイドのギターのテンポが全く合っていないことをずっと気にしていたが、ある時BPMを5つほど下げた状態で同じリフを弾いたところ、ダルな感じがむしろハマるというか「そういうもの」として大変聞こえがよかった。空白の取り方や裏に入ってくる個所は意図的ではなく、ほとんどがアドリブで弾いたものの産物であり、幸運であったとしか言いようがない。
イ長調のIV-III-VI進行は、大変煽情的（もっと言うと、ヒステリック）であり、個人的にあらゆる場面で使用を避けてきたが、中谷美紀×坂本龍一の2ndアルバムの最終曲「corpo e alma」をいつものように聴いていた際、「IV-III-VIはIV-III-V-IV♯的な和音を使用、更にIV♯を4つ目に持ってくることで硬いループが生まれ、一気に引き締まる」というようなことを漠然と考え、それに乗せるように、以前から温めていたヴォーカルを載せることからこの曲の製作は開始された。
「ぼうっとしている錆びたナイフ」の箇所は、もとは「ぼうっとしている君を見ている」だった。IV-III-VI-II-IIIm-VIという構想が頭にあったが、歌を録ってみると、この音程でこんなことを言うのがあまりに恥ずかしくなり、歌詞と進行を両方変更する。このトラックはもう存在しないが、ピロートークにしか聴こえなかった。
続きはまた書きます

第五世界線

桃子