浮遊霊

血が流れていた。
体内じゃなく路地裏の
地面を真っ赤に染めていた
どうやら僕は殺されたらしい
刺さったままナイフを眺めていた

死んだことで得た力
一度だけ誰かを呪い殺せる
微かに残る死に際に見た
知らないあいつの必死な顔を

僕には何があったんだっけ
何か予定があっただろうか
大切な人はいたんだろうか
何も思い出せないくせに

死ねないままで死んだ僕の
怒りは理由を持つのだろうか
殺されたことはどうでもいい?
正体不明な回路が僕を彷徨…

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