六畳間の片隅でレコーディングしてた


そこにあったのは


ただ言葉と発音への異常な偏愛


"誰も知らないようなまったく歪な語彙"と


"誰も聞いたことの無い支離滅裂な発音"


混ぜたらどうなるんだろうか


全てはそこから


邪道に可能性を見出す感性に育った


辞書をあさった 朝から晩までずっと


いろんな音楽を聴いた 朝から晩までずっと


浮かんだアイデアを形にした 3ヶ月ほど


結局聴いてくれる人なんて居なかったんです


本当


そんなとき、とある選手権に目を細めた


「みんなに聴いて貰えるかも…」


ってそう思えた


重たい足取りオーディション会場を覗けば


治安悪いファッションしたお前ら


かたや俺は…


かっけぇHIPHOPだとか


何がリアルで何がフェイクだとか


ジーンズ引き摺るとかレペゼンとか


マイク握る意味だとか


そんなの二の次も三の次にもなかった


てかどうでも良かった


そんな俺に一通、


"オーディション受かりました"


キテレツ漢字ホリックなんだって、

俺の二つ名


いいじゃん、


そのキャラで爪痕残してやるからな


部首で踏んだりしてみたり…伝わるかな？


まぁ誰かの記憶の淵にでも引っかかるはずさ


気づいたら優勝してた


気づいたら優勝してた


気づいたら優勝してた


いやいや俺が1番困惑してるわ


あのオタク風情が


初めてのバトルで日本一をもぎ取ったんだ


全ヘッズに全く新しい勝ち方を見してやった


嬉しさと驚きと幾分かの申し訳なさ


俺に負けたあいつらの滲んだ顔が浮かんだ


一夜にして"貰う側"になってしまった俺は


全国各地呼んでくれるその声に溺れた


1枚1枚メッキが剥がれてく 少しずつ


『今日も1回戦負け』 いつの間に宿す黒い渦


とんでもない醜態の数々はインターネットで


全世界誰がいつでも見れて


それは死んでも消えないらしいんだ


最初は気にしなかったが後々むせ返った


「無かったことにしたい」


そう思うことが増えた


匿名アイコンに震えて


カレンダーに怯えて


曲作りも


"もしdisられたら…"


が脳裏に住み着いて


動画が出る度に


「またひとつ増えちゃった」とか思って


そんな俺に相反して


擁護してくれる誰かがいて


ありがとうよりもごめんが先に出るような俺は


あなたの狺ｰTARØETってラッパーで本当に合ってますか？


全てを中途半端で燻らせたまま捨てる俺は


誰かの狺ｰTARØETってラッパーで本当に合ってますか？


ふと思い出した なんだっけ 最初 初期衝動 


ギャラなんてなくても楽しかったあの頃


なんで、そんな忘れちゃいけないようなことを


「俺、バトルが好きでラップ始めたんじゃねぇよ」


以上が俺の今まで


そして、つなぐ、これから


狺、ばとるやめるってよ

T'vvrst (てぃーばーすと)
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狺、ばとるやめるってよ

狺ｰTARØET(ごんたーげっと)