誰が書いたのか、誰の物語だったのか。
─残されたのは、音だけの断片。

02. シナリオの欠片と消えた作者 | Fragments of the Script and the Vanished Author

燃え尽きた魔法が描いた円。
その中心にある沈黙が、音楽のように語りかけてくる。

07. 灰色の魔法陣 | The Ashen Circle of Spells

羽音のように微かで、触れると消えてしまいそうな祈り。
魔女の最後の願いは、空に届いたのだろうか。

庭に落ちたしずくが、葉を揺らし、土に染み込んでゆく。
静寂の中で、過去と現在が音になって溶けていく。

観客のいない音楽会。
それでも、魔女は最後まで演奏をやめなかった──誰かが聴いていると信じて。

魔女が去った夜、庭はかすかな光に包まれていた。
寂しさと安らぎが混ざった、不思議な夜の音。

聞こえるはずのない音が、耳の奥で鳴り続ける。
誰もが忘れてしまった子守唄は、塔の中で眠っていた。

最後の魔法は音で編まれ、庭に静かに咲いた。
その旋律は、魔女の物語そのもの。

火が消えたあと、譜面台には最後の曲が残されていた。
誰のためでもない旋律──それでも、確かに響いている。

音が消えたあとに残るもの──それは静寂か、それとも魔法か。
終わりではなく、始まりを告げる“音のない旋律”。

音楽が語る物語、幻想の書庫へようこそ。

Welcome to the library of fantasy, a story told through music.