季節がただの温度になり
言葉がただの音になる
あなたはただの他人になり
気が付けば知らない場所にいる

理想の窪みだけが残り
思い出は今に影を落とし
ただ痛みが　痛みだけはずっと
未来を塗り潰していく

食事の支度をしながら
洗濯物を干しながら
駅へと向かい歩きながら
空を見ながら

悲しみに振り回されて
約束も忘れてしまう
終わりを強く　強く願い
心が動いた気がして

季節がただの温度になり
言葉がただの音になる
あなたはただの他人になり
気が付けば僕はただの肉になる

家へと向かい歩きながら
汚れた体洗いながら
砕けた景色集めながら
空を見ながら

肉になる

ハクジツ

全部終わってしまって
まっさらを　掬うその指に
思い出もなにも　切り刻まれて
いらなくなったよ

どうしよう
これだけになって

愛しい身体はここに
横たわる　傷付けたりしない
そこに宿るあなたの
執着だけは　信じたいと思う

窓の向こうで　笑うあなたを
知らないままで
今日もなんとなく同調すれば
もっと遠くへ

どうしよう
無くなっちゃったら

そこに宿るあなたの
執着だけは　演じるなと願う

ネクロマンサー

誰かに救われた　あなたは
私を　救ってはくれない
救いを歌う　あなたの歌では
私は　救われない

世界の　一部になる
世界の　一部になる

誰かに救われた　あなたでは
私は　救えない
誰かが　救われる世界で
これからも　救われないだろう

ここでは　朝日さえ
絶望を照らす

世界の　一部になる
誰かの　一部になる

夜明け

Vocal：sangatsu
Guitar：hirota
Lyric＆Artwork：Tsukupo

『かすみ』

誰かがこらえかねて
外へ飛び出した
受け入れてくれる場所は
どこにもないと知っていた
そんな経験が糧になる日も
訪れないと分かっていた

心残りが、頬を撫でる

誰かが発煙筒を振りかざす
微笑ましいほど控えめな色の
けれども花のように広がって
息が詰まる、気持ちが伝わる

このかすみが晴れたら
景色は変わっているのだろうか

かすみ

6月
#初出：「掻き鳴らしてもひとり」キツネノスミカ M3 2018春

始まりを繰り返すほど
終わりにも慣れてゆくものですか

6月は噎せ返るほど
のしかかる空気と茹だる暑さで

ページを捲るたび張りつく指
纏わりつく髪を掻き上げた

透明な僕らは
突っ伏してウォークマンを聴いた
蒸れた木とニスの匂いは
赤いギターに似ている

いつだって僕らは
月曜日を繰り返す
目の前の未来さえ
他人事のように見える

いつの日か僕らは
大人になっていくんだ
遠くだった未来が
ほら今胸座を掴んでいる

間違った僕らは
間違ったまま行くんだ

夕映えが水に照る
夏はすぐそこに来ている

6月

call
#初出：「palette」OUCHI SHELTER M3 2018秋

雨音途切れず
窓辺を濡らすの
ぼやけたガラスを
伝うのは深い青

嗚呼

5階から通りの灯りを観ていたの
そこにはとりどりの傘の
色、色
溢れて

どこに向かうのか見失ったままで
立ち尽くす僕らは
人の波に飲み込まれないように
水面でもがき
ただ叫ぶように


すれ違う 遠い日の
テールライト
赤い色

疲れた声色
ぼやくのは誰なの

夜の雲間に途切れて
幽かに届くよ


call
夜に
呼ぶ
声

聞こえるよ
君のコール

call

youtube : https://youtu.be/S_9q5r0vmBE
niconico : https://nico.ms/sm36748229

download : https://note.com/ontheblanc/n/n76449f6c0602

blanc (#98d98e.ver) feat. nijimine kakoi

イラストはpiaproにて eggroll⭐︎様 (Twitter : @nico_eggroll)よりお借りしました
(https://piapro.jp/t/Wjd7)

三階の幽霊 feat. 初音ミク

アイス溶けた 夕日の色と
僕らは影法師作って遊んだっけ
細い指が 虚空をなぞって
「花火のようね」とあの娘はそう言った

彼女はそう消えた 夏に溶けていった
サイダーのように
彼女はそう笑った 陽炎の中で
蜃気楼だった

ソーダの香り 白のワンピース
ブランコに乗って 飛んでいこう

彼女はそう消えた 夏に溶けていった
サイダーのように
彼女はそう笑った 陽炎の中で
蜃気楼だった
夢 全部 夢 覚めて

blanc (#98d98e.ver) feat. nijimine kakoi

nskw | ニシカワタイヘイ